6月1日から、タイでは観光目的でのビザなし滞在が可能な対象国が拡大され、滞在期間が従来の30日から60日に延長となった。この新しいビザ免除政策は、6月中に正式に開始される予定である。
そして新たに導入されたのが「ディスティネーション・タイランド・ビザ」だ。これはリモートワーカー、フリーランサー、ムエタイやその他の格闘技を学ぶためにタイに滞在したい人々を対象としている。有効期限は5年であり、一度に180日の滞在が認められる。また、180日の延長が一度、可能となる。
タイでは以前から、ワーケーションやノマドといった、長期休暇を利用した働き方を推奨してきたが、ここにきて新たなビザが導入された理由について、タイ在住のジャーナリストは次のように考察している。
「タイに年間180日以上滞在すると、タイの税法上は居住者とみなされ、所得税の納税義務が発生します。しかし、最近では学生ビザで滞在しながらYouTubeで収入を得たり、日本人駐在員の妻がインフルエンサーとして収入を得るなど、グレーゾーンの不法就労を行う外国人が増えている。タイ財務省歳入局は、インフルエンサーやYouTuberに対して正しく税金を支払うよう呼びかけていますが、多くの人がバレないと思って、税金を納めていません」
駐在員の妻は通常、帯同ビザの制約により、タイでの就労が禁止されている。フリーランスとして働くことも許されていないのだが、中には顔を出さずにインフルエンサーとして収入を得ている駐在員の妻がいるという。
これらのグレーゾーンにある不法就労は、日本人も例外ではないと、前出のジャーナリストは指摘するのだ。
「新設される『ディスティネーション・タイランド・ビザ』では、50万バーツ以上の財政的支援の証明、または保証が必要とされます。日本人を含む外国人のグレーな不法就労は、タイでは以前から問題視されています。外国人がタイに長期滞在しながら働くことは、今後さらに厳しくなるでしょう」