関西ダービーは最後の一戦を迎える前に、オリックスの勝ち越しが決まった。その6月12日のオリックスVS阪神戦(京セラドーム)後のことだ。ネット裏のスコアラーたちが首を傾げていた。
「オリックス先発のアンダーソン・エスピノーザですが、ここまで京セラドームでの4試合に投げて3連勝。他の球場で投げている時とは別人のような好投ぶりです」(パ球団スコアラー)
そうなのかと調べてみたら、エスピノーザの京セラドームでの成績は、25回2/3を投げて失点1、防御率0.35だった。他の6球場では1試合ずつ先発しているが、勝ち星が付いたのはZOZOマリンでの登板時のみ。計38イニングを投げて失点13、防御率3.09なのである。
防御率0点台と3点台では、確かに違いがありすぎる。先のパ球団スコアラーが嘆くように「別人」だが、京セラドームに突出した特徴はない。「ドーム球場が得意」の仮説は立てられるが、エスコンフィールドでは5回5失点で敗戦投手になっている。
ひなたサンマリンスタジアムでのソフトバンク戦では、7回4失点で敗戦投手に。「デーゲームが苦手」と考える手もある。しかし、ファーム調整中の登板では6回無失点だったので、この仮説も成り立たないことになる。前出のパ球団スコアラーが出した「結論」は、
「京セラドームのマウンドが合うのでしょうが、マウンドの高さ、土質、硬さ、傾斜で他球場と異なる特質は全く見当たりません。試合公式球は一律ですし、エスピノーザ自身の気持ちの問題としか言いようがない」
エスピノーザは2月の入団会見で「ノーヒットノーランをやってみたい」と豪語したが、この京セラドームとの相性の良さからすると、本当に実現させてしまうかもしれない。
6月12日の阪神戦では、7回途中でリリーフにマウンドを譲った。試合後のインタビューではノーヒットノーランの目標について質問され、途中降板を反省しつつも、
「いや、本当に難しいんだなと思う。でも、いつも次回以降はできると思って投げている、毎試合ね。どこかで絶対にやりたい」
京セラドームとの好相性の原因が「気持ちの問題」だとすれば、この前向きさにあるのではないか。
(飯山満)