天然芝と、勝手が違う新球場の設備に泣かされたからなのか――。
中日が日本ハムに連敗を喫した原因として中日サイドから聞こえてきたのは、日本ハムの本拠地エスコンフィールド北海道の「難しさ」だった。
「天然芝のバウンドがね…。人工芝の球場とは明らかに、内野ゴロの転がり方が異なりますから」(名古屋在住記者)
確かに初戦で失った4点には、全て味方野手のエラーが絡んでいる。「バウンドが独特」と選手がボヤく通りではあったが、セ・リーグにも天然芝の球場はある。広島カープの本拠地マツダスタジアムだ。
「いや、マツダとエスコンは天然芝の種類が違うんです。エスコンの天然芝は冬に強い種類のもので、マツダは夏に強いもの。冬に強い種類も少し混じっているとは聞いていますが」(球界関係者)
不慣れを敗戦の理由に挙げるのは情けないが、日本ハムもエスコンフィールドがお披露目された昨年、12球団ワーストの94失策を記録している。天延芝の球場でゴロ打球を捌くことが意外と難しいのは、本当のようだ。
「実は昨オフ、エスコンは少し改造されているんです。12球団ワーストの失策数を記録したことで、日本ハムの首脳陣は球団や球場に頼んで、内野の芝生部分を少し減らしてもらった。走者が通る土の箇所を広げました」(前出・球界関係者)
中日側から出たボヤキには、その土の箇所が広がったことも影響しているそうだ。芝生と土の境界部分で打球がバウンドし、イレギュラーしたのだと。芝生部分を減らさなければ「イレギュラーは起きなかった」と言いたいようだ。
「プロ野球選手のほとんどが、内野フィールドに天然芝が植えられた球場で試合をした経験がないんです。人工芝や土のグラウンドでの経験はありますが、プロに入って初めて経験したと、ボヤいていますね」(前出・名古屋在住記者)
メジャーリーグで成功した日本人内野手は、本当に少ない。肩の強さなど身体的な理由はあるにせよ、不規則に転がる天然芝上のゴロをうまく捌けないからだと言われている。
地方を含め、国内に総天然芝の球場はいくつあるのだろうか。今年の交流戦を終えると、セ・リーグの全チームがエスコンフィールドでの公式戦を経験したことになる。プロアマ共通の課題として、天然芝対策が話し合われることになるかもしれない。
(飯山満)