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“パリ五輪直前”日本を感動させた「オリンピック美女」オール直撃!〈サッカー・加藤與惠〉初対戦の衝撃は「ナイジェリア選手の身体能力」

 96年から07年まで、12年連続で女子サッカーリーグのベストイレブンに選出。輝かしい成績を引っさげて「なでしこジャパン」の黎明期を澤穂希氏(45)らと築いた加藤與惠氏(46)=旧姓は酒井=。五輪に出場したのは04年アテネと08年北京だが、最も記憶に残るのは、惜しくも予選で敗退した00年のシドニーだった。

「目標だったメダルに手が届かず4位になった北京も印象的ですが、やはり悔しい思いとして記憶に残っているのはシドニー大会の予選。当時の日本の女子サッカーの環境は元々そんなによくなかったのですが、五輪の出場を逃したことでスポンサー企業が撤退するなど、さらに悪くなってしまったんです。もし次のアテネも逃せば、日本でサッカーを続ける環境がなくなってしまうかもしれない。シドニーからアテネの4年間は、私だけでなく、女子サッカー界全体が、そんな危機感の中でサッカーをやっていたように思います」

 それだけに、アテネへの出場が決まった時は、うれしかったというより「ホッとした」という気持ちの方が強かったという。

「しかも、初戦のスウェーデン戦は、この大会の一番最初の試合。まだ他の競技は始まっていませんし、女子サッカーの中でも最初の試合だったんです。ですから注目度も高かった。そんな試合で格上のスウェーデンに1対0で勝ったことにより、国内でも『なでしこジャパン快挙』みたいな感じで盛り上がったと現地で聞きました。最終的な結果は決して満足のいくものではありませんでしたけど、少しは女子サッカーを見てもらえた大会になったのかなと。そういう意味でもホッとしましたね」

 アテネ大会では、初めて対戦したナイジェリアに衝撃を受けた。

「もう身体能力が尋常じゃないんですよ。ヘディングひとつ取ってもジャンプのタイミングがすごく早くて『えっ、こんなに早くジャンプするの?』って驚いていると、そのまま上でずっと止まってる(苦笑)。ですから、そういう身体能力を意識しながらパスやフェイントをするんですけど、信じられないところまで脚が伸びてきて止められたり。そのあたりのズレを90分で修正できないまま、負けてしまいましたね」

 この試合は0対1で落とすが、加藤氏はアテネ大会の全試合に出場し、グループリーグを3位で突破。決勝リーグへ進出するものの宿敵アメリカに1対2で敗れ、1回戦で敗退した。

「多分、アテネの時は出られるだけで満足してしまった部分が少なからずあったと思います。それで次の北京からはメダルが目標になりました」

 しかし、代表メンバーには選出されたもののヒザのケガや若手の台頭もあり、北京大会での試合出場はかなわず。体力的にも限界を感じていて、この大会を最後に引退することを決意していた。

「北京の時は代表に選ばれるかどうか、本当に当落線上の選手で、それでも選んでもらったからには『自分にできることは何でもやろう』という気持ちでした。結果的には準決勝でまたアメリカに2対4で負けてしまうんですけど、手応えも感じられたので、それほど悲観的というわけでもなかったんです。アテネの時の日本はアメリカにとってはライバルでも何でもなくて『多少、手を抜いても勝てるだろう』ぐらいの相手だったと思いますけど、『アメリカ相手でも十分やれるんだ』と多くの選手が思ったのが、北京だったと思います」

 この北京五輪では、うれしい初体験もあった。

「選手村に初めて入れたんですよ。サッカーって、決勝戦に近づくにつれて会場が大都市になっていくんですけど、グループリーグの時は本当にオリンピック感も何もない地方都市の会場での試合なので、普通のホテル暮らしですし、他の競技の選手たちと会うこともない。でも、北京では準決勝まで行けたことで初めて選手村に入れて。あれは試合へ行く時だったのかな。ソフトボールの選手が金メダルを獲って帰って来た時に『頑張ってね』って声をかけてくれたんです。そういう交流ができたのは本当にうれしかったですね」

 現役を引退したあとは、古巣ベレーザの下部チームでコーチに就任。その時に指導したのが、現なでしこジャパンの主力選手でもある長谷川唯(27)や清水梨紗(28)だ。

「まさか、あんなに小さかった子たちが、こんなすごい選手になるとは(笑)。メダルを狙える実力は十分にありますから、本番までしっかりとコンディションを高めて頑張ってほしいです。でもね、なでしこの試合は何かドキドキしちゃって、落ち着いて見られないんですよ。自分でやる方が気持ち的にはよっぽど楽ですね(笑)」

 果たして、パリ五輪でどのような活躍を見せてくれるのか、今から楽しみだ。

加藤與惠(かとう・ともえ)1978年、東京都生まれ。小学生からサッカーを始め、中学生で「読売メニーナ」入団。その後「読売(現・日テレ東京読売)ベレーザ」に昇格。主なポジションはMF。96年から12年連続でリーグベストイレブン選出。01年から2年連続でMVPを獲得。97年、日本代表デビュー。10年にわたって選出され、114試合に出場。08年、現役を引退。指導者を経て、現在はWEリーグなどの解説を務める。

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