意外な形での幕切れとなった、6月18日のセ・パ交流戦の最終甲子園決戦は、阪神が延長11回裏、日本ハム矢澤宏太投手のワイルドピッチで2-1のサヨナラ勝ちを収めた。
だが、岡田監督の機嫌は悪かった。サヨナラ勝ちの瞬間こそ、ベンチで少し笑顔を見せていたが、納得できない気持ちがぶり返したのだろう。テレビのインタビューでは不機嫌そのものだった。
理由は、この最終戦は「1-0で勝つしかないと思ってたから」というわけだ。
岡田監督は、7回表に桐敷拓馬が清宮幸太郎に浴びた同点打を「不用意な投球」「歩かせてもいい場面」と、やり玉にあげた。
さらに阪神攻撃陣については、5回裏の内容を嘆きまくった。少しプレイバックしてみよう。
5回裏は先頭打者の前川右京が四球を選ぶと、続く森下翔太の打席で、プロ入り初登板となった日本ハムの細野晴希が暴投をする。当然、前川は二塁へ進塁。直後に、森下の中前打で無死一、三塁の大チャンスを迎えると、ベンチは梅野隆太郎にセーフティスクイズのサインを出した。だが、梅野のバントは投手の正面に転がり、飛び出した前川はタッチアウトとなった。
岡田監督はインタビューで「セーフティースクイズっていうても、正面だったら別にスタート切らなくてもいい。そう考えたら5つやね、走塁ミスは」と、ミスの数をまさかの上方修正した。
続く小幡竜平が四球で一死満塁となったところで、日本ハムは宮西尚生に投手交代。すると岡田監督は、5回無失点の投球内容だった村上頌樹に替わり、代打の原口文仁を送る。ところが、原口が放ったライト線へのファウルフライを万波中正が捕球すると、三塁ランナーの森下はタッチアップを自重してしまったのだ…。
この場面について、岡田監督はますます嘆き節だ。
「あの体勢で取って投げられるか? ホームにストライク」「何を考えてるんや、ほんま、グラブが伸びたような取り方で」と、いくら相手が強肩の万波とはいえタッチアップできたはずだと、自重した森下と「ゴー」の指示を出さなかった三塁コーチの姿勢を問題視したのだ。
スポーツライターが話す。
「あのイニングは、何としても村上に勝ち星をつけたいと、岡田監督が決断して代打を出している。上昇気流に乗れない村上に勝ち星をつけることで、今後のペナントレースの大黒柱として復活させたい意図がありありでした。その監督の意図、チームのプランを理解できていなかった森下と藤本敦士三塁コーチを責めたわけです。また、近本光司の中前打で1点を先制した場面で、2塁からホームインできなかった梅野の走塁もミスだと指摘しています。二死満塁でのセンター前ヒットでなぜ帰ってこれないのか、というわけです。むしろ、これに一番腹を立てていたように見えましたね」
とにかくこの日は、延長戦で勝つ予定ではなかった。9回で勝ち切るはずだった。それができないチームを憂い、岡田監督は終始機嫌が悪かったのだ。
(石見剣)