くすぶる球団同士の「緊急トレード」である。巨人・松原聖弥外野手と西武・若林楽人外野手のトレードが成立した。今季開幕後のトレードは、12球団で初である。
松原は仙台育英高校から明星大学を経て、2016年の育成ドラフト5位で巨人に入団。2017年7月に支配下登録された。2021年には135試合に出場し、打率2割7分4厘、12本塁打、37打点、15盗塁を記録したが、近年は出番が減少していた。
一方の若林は駒大苫小牧高校から駒澤大学を経て、2020年にドラフト4位で西武に入団。2021年には44試合に出場して打率2割7分8厘、2本塁打、10打点、20盗塁を記録した。昨季は2年ぶりの一発を放つも、6月中旬に「特例2023」で離脱。そのまま再昇格を果たせず、シーズンを終えている。今季はここまで19試合に出場して打率1割2分9厘、3本塁打、5打点の成績だった。
西武は今季、ぶっちぎりで最下位を独走しており、貧打解消のためにトレードを模索していた。左打者で力強い打撃が魅力の松原には即戦力として期待が寄せられているが、お世辞にも大型補強とは言い難く、西武ファンからは冷ややかな声も出ている。スポーツライターが語る。
「同ポジションでの交換なので、戦力補強的な意味合いよりも、お互いに環境を変えることで活躍のきっかけをつかんでほしい、という球団の親心が働いたトレードといえるのではないか。松原は球団公式インスタグラムのライブ中にズボンを脱ぐような天然キャラで、チーム内では愛されていた。どんよりとした西武ベンチを明るくしてくれるでしょうね。流し打ちを覚えれば確実に率を残せますから、西武コーチ陣がそれをうまく生かせるかどうか」
野球評論家の里崎智也氏は6月23日に投稿したYouTubeチャンネルの動画で「トレードに出した方がいい西武の選手」として若林の名前を挙げると、
「欲しいチームはいっぱいあるし、いい選手も獲れる。1軍で使わないのであれば、(他チームで)チャンスがある」
と発言していた。まさにその予想が大的中した今回のトレード。両選手にとって復活への転機となればいいが。
(ケン高田)