ウルトラ少年、いや怪獣少年たちの〝初恋の人〟と言えばこの人。「ウルトラセブン」(TBS系)の紅一点〝アンヌ隊員〟を演じたひし美ゆり子その人だ。このたび、喜寿を迎えた記念に自身のエッセイ本を大幅改定。現在も変わらぬ〝セブンの恋人〟を直撃すると‥‥。
「モロボシダン」と言えば「友里アンヌ」とピンと来る特撮好きの御仁も多かろう。
今回、刊行されたのは00年に発売したエッセイ本「アンヌとゆり子」(同文書院、後に「隊員服を脱いだ私」として講談社から改題発行)を底本とした「改定新版アンヌとゆり子」(復刊ドットコム)の決定版だ。「セブン」出演後の日常を綴ったエッセイは長らく入手困難で幻の1冊となっていたが、今回はひし美のオフィシャルブログ「あれから55年:アンヌのひとりごと」などに記された文章などを精選して、新たに100ページ超が加筆された〝ゆり子完本〟として刊行された。ウルトラ世代には垂涎のお宝本となることは確実だ。
今回の改訂バージョンには「セブン」スタッフとの座談会の他、浜かおる、八並映子らとの「プレイガール」座談会、「セブン」の美術監督を務めた成田亨氏の寄稿文など、ひし美と関わりのある関係者が多数登場する。
中でも特筆すべきは、新たに収録された満田穧監督との対談だろう。満田氏と言えば、6話「ダーク・ゾーン」、48・49話「史上最大の侵略」など「セブン」の中でも名作と謳われる作品を手掛けただけにマニアにとっては必読の本となろう。
その一部はこの通り。
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ひし美 その時よね、満田さんが「アンヌは髪をアップにしているよりも下ろした方がいいと思うよ」って(中略)
満田 「セブン」が終盤に入ってから、ロングヘアにして欲しいって言ったのはおぼえてるけど。
ひし美 野長瀬監督の撮影に満田さんがお昼頃にお見えになって、髪を下ろした方が良いって言われても、午前中に髪をアップにして撮った後だったから、フィルム代が高くて撮り直しができなくて、うまく繋がるように髪を下ろす芝居をしたの(笑)。
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放送当時、ショートカットのイメージの強かったアンヌ隊員が突如としてロングヘアに変わった秘話があっさり明かされているのだ。
果たして、今どうしているのか? 本人を直撃した。
─今回発売される書籍は、ひし美さんの「ウルトラセブン」出演後の歩みに触れたものとなります。その中で、自分自身の中で大きな節目となった出来事といえば何になるでしょうか?
ひし美 「ウルトラセブン」への出演が決まった頃もそうですが、いろんな節目はあります。東宝の俳優養成所からデビューしてからお世話になった東宝との契約が終わって、退社。芸名を「菱見百合子」から「ひし美ゆり子」に改名したことかしら。90 年代に「セブンセブン セブン」(小学館)という初めての本を出してから、再びアンヌの仕事が増えたので、それも節目かもしれませんね。