急な登板回避のほか、好投後に出場選手登録を抹消…。そんな不安定な行状で首脳陣とファンをやきもきさせているロッテ・佐々木朗希に対し、メジャーリーグが予想外の反応を見せている。メジャーリーグ取材に携わるスポーツライターは、現状を次のように話す。
「できればこのまま、シーズン中には登板しないでくれ、という感じですね。『すでに高評価は決まっている。あとはポスティング移籍レースをどう勝ち抜くか』と話すメジャー関係者は多い」
その背景には、日本人投手が置かれる状況がある。今年も2ケタ勝利を期待されたメッツの千賀滉大は右肩痛のため、開幕から負傷者リスト(IL)入り。5月下旬には新たに、右上腕三頭筋の炎症が判明した。近日中にもマイナーリーグでリハビリ登板する予定だが、いまだに明確な復帰時期は決まっていないのだ。
今季からドジャースに加入し、先発ローテーションの一角を担っていた山本由伸も右肩を痛めてIL入りし、現段階ではキャッチボールさえも行っていない。山本はオリックス時代にほぼ肩ヒジの故障はなく、無双状態だったが、メジャー移籍早々にリタイアを余儀なくされた。前出のスポーツライターの分析によれば、
「日本とメジャーではマウンドの硬さやボールの大きさ、移動の距離が違う。日本から加入したばかりの投手はそうした環境に適応するため、どこか無理をしているのは間違いありません。それが故障につながっている可能性は否定できない」
ここまでシーズンを通じて投げた経験がなく「虚弱児」と揶揄される佐々木だけに、メジャーでのプレーに不安を抱く人は多い。スポーツ紙遊軍記者も、
「日本球界では頑丈と言われた千賀や山本、そして大谷翔平でさえ故障した。日本では『佐々木のフィジカルで大丈夫か』という声があって当然でしょう。佐々木を狙うメジャー球団は、肩ヒジを休めてほしいと思っている。それが叶わなければ、せめて疲労を残さずにアメリカに来てほしいと思うのは当たり前です」
シーズンは後半戦へと進む。ロッテが優勝やクライマックスシリーズ出場権を勝ち取るために佐々木は不可欠な存在だが、投げるたびにアメリカからの悲鳴が聞こえてきそうだ。
(阿部勝彦)