まさに歴史に残る大快挙だった。女子ゴルフのメジャー大会「全米女子オープン選手権」で、笹生優花が3年ぶり「2度目の優勝」を果たしたのである。
最終日、3打差の5位で出て68で回り、通算4アンダー。大逆転して優勝賞金240万ドル(約3億7200万円)を手にした。笹生は、
「ドライバーショットがよくて、フェアウェーを外さなかった。勝てることを証明できた」
と笑顔を振りまいた。
ポーラ・クリーマーに憧れてゴルフを始め、ジャンボ尾崎が主催するゴルフアカデミーの1期生となった。
小学生の時から毎朝、両足に重りを巻いてランニング。高校生時代には両足合計5キロの重りを付けたままの状態で一日を生活し、100メートルダッシュや反復横跳びもするなど、猛烈な方法で鍛えてきた。どっしりとしたその下半身が、パワーの源だ。ジャンボと初めて対面した際には、
「どうやってその足腰を手に入れたんだ」
と驚嘆されたという。
「足の筋力は男性ゴルファークラスです。ドライバーの平均が265ヤードの飛ばし屋。280ヤード超えもある飛距離は、アメリカツアーでも最上位ですね。パー4を3Wでワンオンさせるほどです」(ゴルフジャーナリスト)
プロテストに合格した2020年頃からは、プロ野球元メジャーリーガーのイチローが利用していたジムを使い始めた。ゴルフジャーナリストが続ける。
「初動負荷と呼ばれるトレーニングを勉強しています。笹生自らそのトレーニング器具をアメリカの自宅に買い込み、イチローのトレーニング風景をタブレットでチェックしながら、体作りをしています。この優勝はその賜物ですよ」
簡単に言うと、リラックスした状態で神経と筋肉の機能の協調性を高め、血流と代謝を活発にする運動であり、動作時のパワー増、関節可動域の拡大を実現させるものらしい。
父は日本人で、母はフィリピン人。東京五輪にはフィリピン代表で出場して9位だったが、パリ五輪は日本代表で目指す。日本代表は2枠になる可能性が高く、笹生は世界ランキング6位で「ほぼ当確」。あとの1枠を畑岡奈紗、古江彩佳、山下美夢有らが争うことになりそうである。
(渡辺優)