7月2日の阪神戦を落とした首位・広島は、2位・DeNAとのゲーム差を2に縮められた。6月末の巨人戦に敗れているので、2連敗。ただし、6月は13勝10敗でフィニッシュしており、
「直近10年間のデータを見る限り、6月終了時点で首位に立っているチームが優勝する確率は80%です」(ベテラン遊軍記者)
ところが、だ。7月最初の試合となった阪神戦は延長10回を戦い、3-0の完封負け。これは単なる「敗戦」では片付けられないようだ。
というのも、広島の今季の完封負けは、これで13度目(7月2日時点、数字は以下同)。ちょっと多くはないか。完封負けで真っ先に思い浮かぶのは巨人だが、12度目の完封負けを喫した6月22日、「東京ドームでの完封負けは7度目。本拠地での7度は2013年以来」と、シーズン半ばで早くも球団ワースト記録に並んでしまった。
「送りバントを多用する阿部慎之助監督の堅実野球が『打てない』印象をさらに強めています」(前出・ベテラン遊軍記者)
犠打多用の是非はともかく、広島が巨人以上に完封負けを喫していることが分かったのである。
では阪神はどうかといえば、これも10度の完封負けを記録している。今年は「打てない」と言われ続けているのが阪神打線だ。
これら3チームのチーム打率は、広島2割3分5厘(リーグ3位)、巨人2割3分4厘(同4位)、リーグワーストは阪神の2割2分1厘だ。しかし、総得点を見てみると、阪神(208点・リーグ3位)、広島(207点・同4位)、巨人(206点、同5位)の順になる。
チーム防御率では、広島がリーグトップの2.02で、2位は阪神の2・19、3位が巨人の2.47。3チームとも貧打線を投手力でカバーしているようである。
打撃力と投手力に大差はないが、「守備」は違う。巨人の失策数が12球団最少の25で、37失策の広島はリーグ3位タイ。阪神は12球団ワーストの47をカウントしていた。6月26日の中日戦では、三塁手・佐藤輝明のエラーで出した走者がそのまま、勝ち越しのホームを踏んでいる。
セ・リーグは広島の連敗により、再び3.5ゲーム差以内に4チームがひしめき合う大混戦となった。4チームのゲーム差は、数字で見るよりも縮まっているのかもしれない。
(飯山満/スポーツライター)