「2位じゃダメなんでしょうか」
東京都知事選に立候補している蓮舫候補がそう発言したのは、民主党政権下の2009年11月、行政刷新会議(事業仕分け)の席上だった。次世代スパコン事業を対象にした最中のこの言葉はあまりにも有名だが、その蓮舫氏が都知事選に関する報道各社の情勢調査で、2位に甘んじている。いや、それどころか、前広島県安芸高田市長・石丸伸二氏に追い上げられ、2位すら危ういとの情報があるのだ。
「ある民放テレビ局の情勢調査で、蓮舫氏と石丸氏の差はわずか3ポイントでした」
と明かすのは、自民党の都連関係者だ。各社の調査では、現職の小池百合子都知事の優位は揺らいでいない。
もちろん蓮舫氏としては「2位ではダメ」で「1位」を狙っているわけだが、今のところ、伸び悩んでいる。
「出馬当初から共産党色が強すぎた」(前出・自民党都連関係者)
といった指摘があるが、終盤に向けてなんとか追い上げようとしているのだ。
ここにきて、その蓮舫氏を猛追するのが石丸氏。当初は知名度の低さから、一部のネット界隈を除き、それほど注視されてはいなかったが、石丸氏の遊説会場に多くの人が詰めかけ、その模様をネットに流し、それを見た人が見に来る、という展開になっている。小池氏や蓮舫氏にはない新鮮さを、石丸氏に求めているようだ。先の自民党都連関係者は、
「蓮舫氏に立憲民主党や共産党の組織票がついているのに対し、石丸氏は浮動票頼みなので、最終的には蓮舫氏が上回るだろうが、何が起きるかわからないのが都知事選。面白くなってきたが、候補者すら出していない自民党は蚊帳の外というのは寂しい限りだ」
肩を落としてそう語るのだった。
(田中紘二/政治ジャーナリスト)