列島を連日のように襲った台風が去っても、小池百合子都知事の猛威は衰えるどころか、勢力を拡大していた! 次に“ロックオン”されたのは、来日する「IOC会長」、敵対政党のトップ「蓮舫」、初の女性総理候補「稲田朋美」の3仇敵。「壊し屋」が絨毯爆撃で突破する「粉砕現場」をレポートする!
10月11日午前、JR池袋駅西口に「緑」のジャケットを羽織った小池百合子都知事(64)が聴衆の前に登場すると、「百合子さ~ん」という声が飛び交った。満面の笑みで手を振って応じると、支持率の高さを証明するかのように、その掛け声はいっそう膨れ上がっていったのだ──。
この日、衆院東京10区と福岡6区の補選が告示された(23日投開票)。東京では、自民党の若狭勝氏(59)が立候補。14年に比例当選した若狭氏が立つことで、自民党は小池都知事誕生により減らした1議席を埋めることができる。都知事選で党の方針を無視して自身を応援してくれた「参謀」のため、小池氏が街頭演説に駆けつけたのだ。
来年1月の「解散総選挙」がささやかれる中、2つの補選の勝敗しだいで解散風が一段と強まる。都知事選で小池氏とは別の候補者を推薦した自民党は、「小池フィーバー」に臆面もなく乗っているのが現状だ。
「東京10区はもともと小池氏の地盤で影響力が強く、二階俊博幹事長(77)は若狭氏の処分を厳重注意だけで終わらせて、公認しました。都連側から対立候補を擁立する意見も出ましたが、二階氏が封じ込めて、小池氏との関係を選んだのです」(政治部記者)
それは安倍晋三総理(62)も同意見のようだ。
「敵を作って世論を味方につけた時の脅威は、小泉政権時代にいちばん近くで見ていました。今の勢いのまま『小池新党』を作られたら、自民党でも選挙で大勝できる計算が立たず、官邸サイドは小池氏と距離を近づける方針を明確にしました」(前出・政治部記者)
対する野党は、民進党新人の鈴木庸介氏(40)を統一候補に担ぎ上げ、同党の蓮舫代表(48)体制になって初の国政選挙に挑む。「自民党&小池」から大金星をあげて党内での地位を盤石にしたいが、就任から1カ月たっても「二重国籍疑惑」が尾を引いている。
「発言が二転三転して、有権者への印象は非常に悪かった」(民進党関係者)
さらに党内で不評を買ったのは、幹事長に野田佳彦元総理(59)を起用した人事。前出の民進党関係者が続ける。
「野田さんは4年前の衆院選で大敗して、政権転落のきっかけを作った『戦犯』です。発表前に蓮舫さんから野田さんの登用人事を聞いていた人は、考え直すように説得したのですが‥‥」
新執行部に反発するように、9月21日の両院議員総会では、党所属国会議員147人のうち、出席したのは約70人と半数以下。空席ばかりが目立ち、これには蓮舫氏もマユをひそめたという。東京新聞編集委員の五味洋治氏はこう話す。
「国会質疑で厳しく追及する姿勢は評価が高いですが、まだ党のビジョンが見えていません。安倍政権が中国との関係がうまくいっていない中、野党の党首として中国の指導者に会って、外交面で存在感を発揮したいところですが、中国との関係がよくなるほど、二重国籍問題が再び取りざたされてしまいます」