毎年開催される「プラハ・ベースボールウイーク」(7月6日~9日)に参加する大学野球代表24人が、開催地のチェコに向けて出発した。
最注目選手は侍ジャパンも経験した青山学院大学の外野手・西川史礁だが、現地入りしての視察を続ける球団は少ないようだ。
「評価は変わらない。ここまで練習試合も見てきたので」
さる球団スカウトはそう言う。どの球団も西川をドラフト1位候補として熱心に追いかけてきたのは事実だ。1位指名の選手が球団を選ぶ、逆指名制の時代は終わった。球団は誠意、熱意で競い合う必要がなくなったため、無理をして海外まで追跡しなくなったのだろう。
そんなドラフト会議の現状を見ていると、こんな解釈ができる。「全てはクジ運次第」と。
「夏の甲子園大会、社会人の都市対抗を見て1位指名を誰にするのか、最終判断が下されます。とはいえ、西川の1位入札が重複する可能性は高いですよ」(スポーツ紙記者)
その西川は指名された球団によって、プロ入り後に就くポジションが変わりそうなのである。
東都の春季リーグ中でのことだ。第4週に入った頃、現在は監督代行も務める西武の渡辺久信GMは、外野手が不足している当時のチーム事情を重ねて、その打撃センスの高さを褒めていた。だが、春季リーグが開幕した直後、ヤクルトの橿渕聡スカウトグループデスクは、
「今は外野だが、二塁や三塁も守れると思う」
と各メディアにコメントしていた。
西川は龍谷大平安高時代、ショートを守っていた。額面通りに受け止めれば、内野手でスタートさせるのだろう。
「西川を『内野手で』との案が出ている球団は、他にもあります」(前出・スカウト)
今回の出発前、メンバー選考の合宿練習で、西川はライト後方の守備位置からキャッチャーにノーバウンドでストライク返球していた。高校時代から強肩内野手で知られていたが、このバックホームをプロでも見たい、と思った関係者は少なくないはずだ。まさに、クジ引きで運命が変わることだろう。
(飯山満/スポーツライター)