7月27日に開幕するパリ五輪のサッカー代表メンバーが発表され、サッカーファンの間で議論が巻き起こっている。論点となっているのは「オーバーエイジ(OA)枠を使わないこと」と「松木玖生の落選」だ。これについて元日本代表のレジェンドたちも、自身のYouTubeチャンネルで持論を展開している。城彰二氏はOAなしに肯定的だ。
「選手にとって、オーバーエイジを使わなかったのはよかったんじゃないか。予選をずっと戦ってきて、勝ち抜いてやっと出場権を獲得という苦労がある中で、メンバーが18人に絞られて、オーバーエイジが3人も入ってきて15人になると、選手としては『えっ!』ってなる。選手のことを考えると、入れない方がいい。経験もできる。その先のことを考えても、OAを使わないのはよかった」
福西崇史氏はOAのメリットとデメリットを解説。
「オーバーエージの選手はレベルが高く経験値もあり、個人の能力という点ではよくなる。デメリットは急にチームに入ってくることで、チームワークやコンビネーションに懸念がある」
その上で、こうも言うのだ。
「海外で活躍してる選手もたくさんいますし、臆することはないでしょう。これまでチームで戦ってきたこともあり、OAがいなくてもいいんじゃないかと思っています。逆境を乗り越えてきた絆で強くなれるし、成長できるので、期待は大きい」
ただ、OA選手を招集することにクラブチームがOKしなかったという背景があることを両者は問題視し、今後の課題とした。
松木玖生の落選について、福西氏の意見は、
「移籍をするかもしれないということでメンバーから外れたが、詳しいことはわからないのでなんとも言えない。選手としても準備段階で呼ばれるのはきつい。クラブで成長することができるし、五輪に出たことでの成長もあるし、難しい選択」
城氏も同意見だ。
「移籍をするんじゃないかという噂が出ておりまして、この時期は出られない、というような。交渉がうまくいってないってことで、松木選手は今回外れる」
いずれも移籍が理由であれば仕方がない、というものだった。その上で城氏は、日本サッカー協会の交渉力に疑問を投げかけた。松木だけでなく、久保建英や鈴木唯人ら五輪世代とOAの選手の招集を、クラブから拒否されたと伝えられる。
「交渉は日本サッカー協会と各クラブとで行う。クラブの関係者から聞いたんだけど、日本(サッカー協会)は交渉が下手。その時期になると招集したいのでお願いします、と言うだけ。年間を通して挨拶したり、選手の問い合わせをするなど、密に連絡を取ってクラブとの信頼関係を築かないと」
招集を拒否されたのは、五輪が国際Aマッチウィークではないため、クラブに拒否権があるからだが、城氏は協会の交渉力が高ければ可能性はあったと考えている。
大岩ジャパンの初戦は7月25日のパラグアイ戦。OA不在がどう影響するのか、気になるところだ。
(鈴木誠)