東京都知事選後、3期目に突入した小池百合子氏、2位どころか3位となってガッカリの蓮舫氏、その知名度抜群の2人より圧倒的に報道数が多いのが、見事2位となった広島県の前安芸高田市長・石丸伸二氏だ。
圧倒的な若者の支持を受けた41歳の時代の風雲児に、メディアがこぞって注目したのは当然の流れだが、同時に、石丸氏の発言や振る舞いがいやがおうでも世間の耳に入ってくることに。ところが、このメディア露出が、石丸氏の好感度の高いイメージを「都知事選後にガラッと変えてしまった」というのだ。
それがあからさまになったのは、投開票直後のメディア対応だった。選挙特番「Mr.サンデー〝七夕決戦〟都知事選SP」(フジテレビ系)では、宮根誠司の「都知事選の感想を…」というお決まりの質問を一笑に付す。
元乃木坂46のタレント・山崎怜奈は石丸氏を称賛しつつ、この先やりたい政治について尋ねるも、
「大変申し訳ないですが、前提のくだりがまったく正しくないなというふうに感じましたよ」
そう答えた石丸氏の姿は、頑張って質問した学生をイジメている偏屈教授のごとしで、山崎は謝罪するハメになった。
日本テレビでも石丸氏は吠えまくる。社会学者・古市憲寿氏の質問を「意図が判然としない」とばかりに問い返しを続けたあげく、
「地上波、何やってるんですか。しっかりしてくださいよ。こんなにこっちがしっかりやってるのに、腑抜けたインタビューさせるんじゃないよ」
質問には答えることなく、メディアへの苦言に終始したのである。
さらに、同じく7日にTBSラジオで放送された「開票LIVE2024~カオス!東京で何が起きていたのか」では、リスナーが「モラハラを受けた時と同じ動悸がした」と投稿するほどのやり取りが…。
石丸氏の著書を熟読したというコメンテーターがその考え方に疑問を投げかける質問をすると、「失礼ですが、本当に熟読されました?」と攻撃的になり、大量の付箋が貼ってあると答えると途端に、
「そういうふうに言っているのではない。自分の責任の範囲を定義するという意味において、その話をしてます」
なにやらわかりにくい論理を展開したのである。週刊誌記者が分析する。
「どのメディアに出演してもパターンは同じ。相手の言ったことをまずは否定して、自分を優位に立たせる典型的なタイプです。ちょっと都合の悪い質問には逆質問して、時間稼ぎをして有耶無耶にする。ここ数日のやり取りを見聞きして、それが石丸氏のキャラクターだと感じました。アイドルタレントさんはきちんと質問されてましたが、それを一蹴する光景は、軽い気持ちで石丸氏を支持した若者たちに衝撃を与えたようですね。今後、よほど力がある、石丸氏が簡単には優位に立てない有名人ぐらいしか、質疑応答はできないのではないでしょうか。まあ、相手が著書を熟読していたかどうか、物的証拠を出されないと信じないようでは、たいした洞察力があるとは思えませんが…」
そんな石丸氏に対して、都知事選後に聞こえてきた一般の声を総まとめすると、
「投票したけど都知事にならなくてよかった」
「こんな挑発的な人が国政に出てくるかと思うと恐怖しかない」
「支持してる人たちに石丸氏の一体どこがいいのか改めて聞きたい」
「次は広島1区とか言ってたけどのぼせ上がるのもいい加減にしてほしい」
「同じ質問をしちゃダメなんて庶民を排除した考え方じゃん」
こうした政治絡みでの発言以外では、石丸氏の人間性に失望しつつある意見が目立つ。
「同じ仕事場にいてほしくないし、上司には絶対にしたくない」
「ああ言えばこう言う典型的な自己防衛タイプ」
「他人に対する足切りラインが高すぎてついていけない」
「パワハラ、モラハラ…ハラスメントを全部兼ね備えた人にしか見えない」
「選挙前の動画はいろいろと編集が上手いことがわかった。選挙後の生のやり取りは胸クソ悪いだけだった」
どうやら、個人的には絶対にお近づきになりたくないタイプだと感じた人が続出しているようだ。
「アンチや弱いものに対して高圧的でパワハラ系のタイプは、メディアのコメンテーターを見ていても一定数の信者が付きます。その手の人には炎上が栄養ですから。ですが、石丸氏が目指すのが日本を変える政治家なら、今後は少しキャラ変が必要となる場面が多々出てくるのではないでしょうか」(前出・週刊誌記者)
石丸氏といえば、安芸高田市の市長選をめぐる「ポスター代未払い」裁判で敗訴が確定したばかり。印刷会社への支払いを73万円ケチった末の敗訴に「ダサい」「ただのクレーマー人間」の声がこだましている。
都知事選後の状況を見て一番ホッとしているのは、石丸氏が出て行った安芸高田市の人たちかもしれない。
(飯野さつき)