7月26日開幕のパリ五輪を前に、各種目の選手たちは最終調整に励んでいるが、一方では取材するテレビ局が、ある競技に殺到している。パリ五輪取材に携わる在京テレビ局スタッフが打ち明ける。
「今、局内では自転車競技がかなりもてはやされていますね。日本が発祥のケイリン競技はもちろん、BMX、トラックレースなどは金メダル獲得の期待が高まっています。拠点は静岡県伊豆の国市にある伊豆ベロドローム。田舎ですが観光拠点になっており、休日は親子連れで盛り上がっています」
期待値が高いのはいいとして、なぜマイナー競技の部類に入る自転車競技をこぞって取り上げようとするのか。背景にあるのは、テレビ局の「金欠」ぶりだ。在京テレビ局スタッフが続けて言う。
「円安の影響を受けて、テレビ各局はパリ五輪取材で現地に送り込む制作・技術スタッフを、従来の100人程度から60人ほどまで絞り込んでいます。日々の競技取材にその影響は出ており、あまりお金をかけたくないのが本音。自転車競技を仕切る日本自転車競技連盟は、海外で行われる試合の中継映像を、無償で配布しています。お金をかけずに番組尺が埋まり、なおかつパリ五輪ネタとなれば、一石二鳥ならぬ三鳥です」
なるほど、露出増加のウラにはこうしたカラクリがあったわけだ。