─今年1月に、ガンを公表されました。その時のことを教えてください。
「寝耳に水というか、発覚してから病院を選んだり、入院の手続きなど、とにかく忙しくて、バタバタでしたね。番組で発表した翌日の日曜は、以前から約束していた東京競馬場に行く用事があって、競馬関係者の皆さんに、色々声をかけていただきました」
─周りの人からすると、ガンなのに競馬場にいていいの? ってなりますよ。
「ガンが発覚する前からあった予定だし、元気は元気でしたから(苦笑)。武豊騎手(55)からも『ノド大丈夫?』って心配していただいたり。皆さんの気持ちがうれしかったですね」
─入院中も馬券を買っていたんですか?
「もちろん。むしろ、検査やら治療やらは平日で、土日は何もやることないですから。予想に集中している時は、自分がガンだってことも忘れられますし」
─大病と闘う修羅場の中、何か競馬への考え方が変わったりしましたか。
「ありましたね。それまでは前日に7〜8時間くらいかけて予想していたのが、レースや買う点数を絞って、だいたい3〜4時間ぐらいにするようにしたんです。体力が落ちていたからかもしれませんけど、年々、長時間の予想がキツくなってきてはいたので」
─予想だけで7〜8時間はすごいですね。
「3場開催だと36レース全部やってましたから。しかも特別レースはまだしも、平場も常に全力投球で、予想に時間がかかりすぎていたんです。でも今は、買うレース、買わないレースの取捨選択をして、平場の予想に以前よりも根を詰めなくなったことで負担が軽くなりました。いい意味で手を抜けるようになった、と言えばいいのかな。予想の方法を簡略化しても、それで自分が納得できればいい、と思えるようになったのも、自分としては大きいですね」
─スタイルを変えてからの勝率はいかがですか?
「それが、今の方がいいんですよ。今年、ガンとは関係なく、3年ぶりに金杯から収支をつけ始めたんです。そうしたら、復帰後の1、2カ月の方が明らかに収支が良化している。それでも前半は本当に真っ赤っ赤ですけどね(苦笑)。周りからは『それだけ負けたから、(神様が)ガンを治してくれたんだよ』なんて言われます(笑)」
─競馬で負けて、ガンに勝ったと。でも、治ったからには競馬でも勝ちたいですよね。
「実はそれもちょっと変化していて。昔は勝つことが一番大きい目標だったんです。でも、今は、競馬を毎週やれるのが一番だな、って素直に思えるようになったんですよ。平場の1レースに3万円も4万円も突っ込むことがほとんどなくなりました」
─やはり、何事も余裕を持つことが大事なのかもしれませんね。ところで、開眼した新しい予想法の詳細は‥‥。
「まだ始めたばかりですし、具体的な方法は企業秘密にさせてください(笑)」