三岐鉄道(三重県)の電撃発表に、鉄道ファンが驚きの声を上げた。三岐鉄道が運営している三岐線の電車21両を置き換えるため、JR東海から211系電車(写真)を譲り受けると発表したのだ。その数、30両。6両は部品取りとして、残りの24両を営業用として運用する。2024年度以降、必要な改造工事を実施した後、順次運用を開始していくという。
地方の鉄道会社がJRの車両をもらい受けるのはよくあることだが、なぜこれが驚きなのか。鉄道ライターの解説を聞こう。
「三岐鉄道は三岐線と北勢線の2つの路線を運営しています。三岐線で現在使われているのは西武鉄道の車両で、『西武天国』として知られている。それがJRの211系に置き換わることになり、西武からJRへと転換するわけですから」
完全に置き換わるのがいつになるのか、今の時点ではわからないが、それまでは西武の車両を撮っておこうとする撮り鉄で賑わうことなるだろう。さらにその後は、211系を撮ろうというカメラマンが詰めかけることになりそうだ。鉄道ライターが続ける。
「211系は東海道線や御殿場線、両毛線、上越線などで使われていて、決して珍しい車両というわけではありません。しかし、今後はどんどん数を減らしていくことになります。いずれは三岐線でしか見られない、ということになる可能性もある。現在は『西武天国』ですが、将来的には『211系天国』になるかもしれません」
そうなることで三岐鉄道が賑わうのであれば、大歓迎だ。
(海野久泰)