混戦セ・リーグで「一人負け」状態なのが、東京ヤクルトスワローズだ。主砲・村上宗隆の調子が上がってくれば、最下位脱出はもちろん、浮上のきっかけをつかめるのだが…。
その村上は7月15日の本拠地・神宮球場での中日戦で、先制点に繋がる二塁打を放つ。この一撃を指して、こんな声が聞かれた。
「前節・広島戦の時とは大違い。中日戦でいい当たりが出て、高津臣吾監督はひと安心だったと思いますが、各球団の『マツダスタジアム対策』が本格的に始まるかもしれません」(球界関係者)
「マツダスタジアムが苦手」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、阿部巨人だ。去る7月9日に、今季7試合目でやっとマツダスタジアムで初勝利を挙げたが、ヤクルトは7戦全敗。DeNAも2勝4敗1分と相性が悪い。
確かに広島はビジターゲームで17勝20敗1分と負け越しているが、ホームゲームでは23勝15敗3分と、高い勝率を誇っている。
対照的なのが、阪神と中日だ。阪神は5勝2敗1分、中日も6勝1敗1分。マツダスタジアムとはむしろ、相性がいい。
「先発投手の好不調やめぐり合わせもあると思います。ただ、ビジターチームの応援席がレフト・ファウルゾーン最上階の一角しかなく、四方全てが広島の応援団に囲まれており、独特の雰囲気を醸し出しています。天然芝に転がるゴロ打球の処理の難しさや、三塁側ベンチがほぼ南側に位置するため、デーゲームの際はベンチからのサインが見にくい、などの苦情が聞かれます」(前出・球界関係者)
阪神、中日に通用しない以上、応援席の件などは言い訳にならないが…。
村上はこのマツダスタジアムでの2試合で、8打数1安打。7月13日は自身初の1試合5三振を喫している。この時点での村上の総三振数は111。2019年シーズンに自身が記録した184個のセ・リーグ記録を上回るハイペースであり、200個の大台達成の危険性からはまだ抜け出せていない。
「村上は『三振したくない』と考え出すと、スイングに思い切りがなくなり、長打も少なくなります。神宮に戻ってきて長打が出たので、いい方向には向かっていると思いますが…」(スポーツ紙デスク)
ヤクルトの「マツダスタジアムが苦手」「村上の三振数」が大きく報じられてこなかったのは、チーム低迷があったからだろう。「マツダスタジアムの魔力」で、村上は「シーズン200三振」の記録更新となるのか…。
(飯山満/スポーツライター)