フリークラスに所属する将棋の小山怜央四段が、C級2組への昇級を決めた。小山四段は2022年から2023年に行われた全5局中3勝で合格となる「棋士編入試験」に挑戦。第4局までに3勝1敗とし、2023年4月1日付けで四段に昇段した。順位戦には参加しない「フリークラス」棋士だった。
そのフリークラスからC級組に昇段するためには、勝率6割以上かつ勝数が「参加棋戦数+8」以上となる単年度成績を収める、あるいは連続30局以上での勝率が6割5分以上などの条件を満たす必要がある。小山四段は7月15日に行われた「NHK杯将棋トーナメント」の対局に勝ち、直近20勝10敗(勝率6割7分)で条件を満たした。
プロ養成機関である奨励会の経験がない棋士の昇格は、戦後初の快挙だ。将棋ファンからは一斉に祝福の声が寄せられたが、一方でNHK杯の「ネタバレ」に、複雑な気持ちを抱くファンも。将棋ライターが語る。
「小山四段は7月15日に収録されたNHK杯で谷川浩司十七世名人に勝利し、昇級規定をクリアしました。しかし、この日の対局がオンエアされるのは8月以降だったため、壮大な『ネタバレ』となってしまったのです。これまで昇級、昇段に絡む対局結果は放送日まで公表されませんでしたが、今回は戦後初の快挙ということもあり、対局結果よりも優先して発表することになったようです」
奨励会を経ずしての順位戦参加はとてつもない快挙といえるが、さらにNHK杯で谷川十七世名人に勝利したというのだから、その棋力は本物といえよう。
2017年4月には、当時デビューしたばかりの藤井聡太が第67回NHK杯1回戦で千田翔太六段に勝利。新人新記録となる11連勝をさらに伸ばしたことで、NHKが特例で結果の公表を認めている。
藤井に続く特例を、NHKから引き出した小山四段。将棋ファンの目は早くも、藤井七冠との対局に向けられている。
(ケン高田)