新たな若獅子の咆哮を期待して導入された、西武ライオンズの「3軍制」が迷走している。
西武は「育成のライオンズ」復活を目指し、2019年に3軍制を導入。しかし担当コーチを置かないなど、運営に力を入れず、自然消滅していた。それが2023年になって、まさかの復活。ここまで社会人や独立リーグとの試合を、3軍戦として運用してきた。
3軍戦は試合によって有料、無料が異なるが、将来のスター選手を一目見ようと球場を訪れる、熱心なファンが少なくなかった。ところが今、試合が相次いで中止になっているのだ。
今季は4月、5月は順調に試合が行われたが、6月は14試合中9試合が中止。7月に入ってからも、17日までの8試合中、半分の4試合が行われていない。雨天による中止なら仕方ないが、深刻なのはチーム編成ができないこと。対戦相手にしてみれば、迷惑以外のなにものでもない。
もともとギリギリの人数で運用しているため、ケガやコロナ感染の選手が出れば、途端に試合をすることができなくなってしまう。一度は消滅した3軍を復活させた心意気は買いたいが、チームの選手層を考えると、時期尚早だったのかもしれない。
一部の口さがないファンからは「いっそのこと、くふうハヤテを買収した方が早いのでは」などという声が挙がっているが、NPB球団が独立リーグに迷惑をかけているようでは本末転倒だ。
現在、3軍制を導入しているのは西武のほかに巨人、広島、ソフトバンクだが、いずれも2軍で出場できない選手に経験を積ませることを目的としている。今季、ぶっちぎりで最下位をひた走る西武の選手層は薄く、3軍制を敷いている余裕などないのかも。
次の試合は7月22日に栃木ゴールデンブレーブス戦が予定されているが、はたしてどうなるのか…。
(ケン高田)