移籍先探しが難航するイチロー(41)が必死になっている。もちろんいい条件での現役続行に向けてだが、それ以上にグラウンド外の隠密活動にも精力を注いでいるのだ。全ては「悲願」達成のためなのだが‥‥。
オリオールズ、マーリンズ、ブルージェイズ、ナショナルズ、タイガース。これらは、ヤンキースからFAになっているイチローに関心を持っているとされる球団だ。とはいえ、メジャー屈指の安打製造機がなかなか新たな契約にこぎつけられないのはなぜなのか。
ひとつは「衰え」。イチローの打撃力、守備力、走力のいずれにも問題が生じているのだ。米スポーツメディア関係者が解説する。
「視力低下が著しいイチローは150キロ以上の速球に対応できず、ほとんど打てなくなりました。守備では普通に追いついて捕球していたはずのフェンス際の打球を、頭から(フェンスに)ぶつかるような体勢になってギリギリで捕ったり、目測を誤る場面も見られるようになった。あるいは、以前なら内野安打になったショートゴロが、今は一塁手のミットに打球が収まった時点で、まだ一塁ベース手前を走っていたりする」
さらに、強気な交渉姿勢もネックになっているのだと、この関係者は続けて説明する。
「4番手、5番手の控え外野手としてではなく、レギュラー争いができることを条件としています。しかも3年契約を要求しているという。『俺は1年契約の選手じゃない。まだ3年、プレーできる』という過信です」
膨大な数字とデータを集め、統計学の観点から野球を分析する「ベースボール・プロスペクタス」というウェブサイトがある。野球ファンはもちろん、メジャー担当記者も信頼を置き、データ分析では参考にしており、球団スカウトやGMも見ているほどの「権威」だ。レポートに「プロスペクタス」のデータを引き、自分の査定が正しいかどうかのよりどころにしているスカウトもいるくらいだ。
このサイトがコンピュータを駆使して行った「長期予想」によると、イチローは今季、250回打席に立ち、打率2割6分で62安打。16年は2割5分8厘で61安打、17年は2割3分8厘で57安打となっている。23年に49歳で引退し、その年は打率2割2分9厘、55安打の成績だという。これだと今後9年間も現役を続けることになるが、
「イチローの契約が難航する一因には、この予想数字の存在もあります。こんな成績しか残せない40代の選手と3年契約を結びたがる球団はなかなかないでしょう」(メジャーを取材するジャーナリスト)
球団サイドにしてみれば、衰えた高齢選手を獲得する「リスク」を冒すことができるかどうかだが、イチローが控え選手扱いを拒む最大の理由は、残り156本に迫ったメジャー通算3000安打達成という大目標があるからだという。それは単に区切りの数字だからということではない。