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Jリーグの「レバークーゼン」になる!V・ファーレン長崎の怠け者外国人が「一気に覚醒」した敏腕采配とは

 まるで、ドイツ・ブンデスリーガを無敗で制した「バイヤー・レバークーゼン」のようだ。そんな猛威を振るっているのが、J2に所属するV・ファーレン長崎だ。

 7月14日に行われたヴァンフォーレ甲府戦で、後半アディショナルタイムにMF澤田崇の劇的同点弾で2-2に追いつき、3月から継続しているリーグ戦の無敗記録を「22」に伸ばした。

 第24節を終えた時点で、14勝1敗9分で2位につけ、清水エスパルスと横浜FCと三つ巴の首位争いを演じているが、シーズン開幕前のゴタゴタを考えれば、これは奇跡と言っていいだろう。

 長崎は昨年12月、ファビオ・カリーレ監督と契約更新を発表した。

「来シーズンも引き続きこのチームの指揮を執れる事を嬉しく思ってます」という監督のコメントまで伝えていたのだが、そこから2週間も経たずに、ブラジルの名門・サントスFCがカリーレ氏を新監督に迎えたと発表したのだ。

 前代未聞の「二重契約」という事態にサポーターが驚いたのは当然だが、とにかく寝耳に水だったのが長崎のフロントだった。サッカーライターがこの顛末を解説する。

「長崎にサントス側から正式な契約オファーは届いておらず、再三説明を求めても、木で鼻をくくったような態度でした。1月中旬にようやく話し合いの場が持たれ、サントスが違約金を支払う方向で進めていたのですが、実はその場限りの〝口約束〟だったんです。それ以降、誠実な対応を見せることはなかったために、2月に国際サッカー連盟(FIFA)に提訴したという流れでした」

 とはいえ、新シーズンの開幕は2月24日に迫っていた。結局、1月にヘッドコーチに就任したばかりの下平隆宏氏が監督としてチームを率いることになったのだ。

 ところがこの緊急事態で、柏レイソルや横浜FC、大分トリニータで指導してきた下平監督がすぐに辣腕を発揮する。

「兄貴肌で選手との会話を大切にしながら距離を縮めると、チームの土台として昨シーズンよりも組織的にパスをつなぐことを徹底させました。しっかりとボールを保持しながら相手の守備を崩し、チャンスを作れば長崎自慢の〝助っ人外国人〟がゴールを奪うパターンが、ものの見事にハマっています」(前出・サッカーライター)

 ゴールランキングを見れば一目瞭然で、エースのFWエジカル・ジュニオが14ゴールで単独トップに立つと、同じくFWのフアンマ・デルガドとMFマテウス・ジェズスが8ゴールで5位タイに。MFマルコス・ギリェルさえ6ゴールを奪うという、手がつけられないスーパー助っ人状態なのだ。Jリーグに詳しいスポーツ紙記者はこう話す。

「開幕前にトレーニングマッチで対戦したJ1の選手たちが、長崎のあまりの強さに『J2にいるなんて信じられない』と、苦笑いでした。特にマテウス・ジェズスは『反則級の怪物だ』という評価が印象的でしたね」

 マテウス・ジェズスといえば、18年シーズンにガンバ大阪でプレーしている。当時、21歳の新鋭は13試合に出場して1ゴールを記録したが、シーズン途中にレヴィー・クルピ氏から宮本恒靖氏に監督が交代すると、出場機会が激減。〝レヴィーの負の遺産〟と揶揄され、期限付き移籍を解除されてしまった。

 以降、ブラジルを中心に7クラブを渡り歩くも、未完の大器は結果を残せなかったが、23年8月にボランチ探しが急務だった長崎が完全移籍で獲得。そして、この怪物を覚醒させたのが下平監督だったのだ。

「フィジカルが強くて足元の技術に優れ、ポテンシャルはピカイチでしたが、気分屋の性格で90分間集中するのが難しく、サボる場面がよく見られました。しかも今季のシーズン前は明らかにウエイトがオーバーしていたので、下平監督が『絞れ』と言い続けました。それでようやく戦える体になると、以前のクラブでは継続して試合出場する機会がなかったジェズスをとにかく先発で使い続け、信頼していることを示した。それでチームを引っ張る自覚が芽生えたようですね。攻守にわたって大車輪の活躍をしています」(前出・サッカーライター)

 大暴れする外国人選手に引っ張られ、日本人選手たちまで水を得た魚のように躍動し、快進撃を続ける長崎。

 18年シーズン以来のJ1昇格に向けて待ったなしだが、〝J2のレバークーゼン〟にとって、8月10日の横浜FC、9月7日の清水のアウェー戦が天王山となりそうだ。

(風吹啓太)

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