甲子園ヒーロー・奥川恭伸のデビューマウンドが変更されそうだ。
東京ヤクルトスワローズの投手陣が10失点と大炎上したのは3月22日、阪神との練習試合だった。試合後、斎藤隆投手コーチはおカンムリだったようで、「どういう意識を持ってほしいか伝えました」と、緊急ミーティングの中身を明かしていた。
「本来なら、この日は開幕3連戦の最終日です。中継ぎ陣はペナントレース開幕に合わせて調整していたはずなので、緊急事態と言っていいでしょう」(スポーツ紙記者)
しかも、ヤクルトは前日の同カードで、ベテラン捕手の嶋基宏が、死球により、右手親指付近の骨折してしまった。
「球団は全治までの期間を発表していません。そういう時は、重傷のケースだったことが多い。嶋には脆弱な投手陣を牽引してもらおうと大きな期待も寄せられていたんですが…」(前出・スポーツ紙記者)
その影響だろう。「4月中に二軍で実戦も」と伝えられていた奥川の育成プランにも変更が囁かれ始めた。
高津臣吾監督は3月19日に、奥川の二軍練習を直接視察している。二軍の戸田球場でのブルペン投球中、高津監督は奥川の真後ろに立ち、熱い視線を送っていた。投球練習を実際に見るのは同日が初めてだったという。「一軍デビューはさほど遠くない」との声も早くから出ていたが、
「16日に首脳陣が集まり、ペナントレースに向けた今後の調整法などが話し合われました。その席上で奥川の話も出ています」(球界関係者)
高津監督の構想にはやはり奥川の名前もあるようだ。
「二軍戦で1回投げさせ、次の登板まで肩や肘などに痛みが出ないようであれば、2度目の投球内容を見て一軍に、というスケジュールが16日の会合で確認されました。でも、2度目の実戦登板が一軍になる可能性が出てきました」(前出・球界関係者)
ブルペン投球を見た高津監督の感想は、「一軍でも通用する」だった。「慎重を期して」の思いもあるようだが、そんな余裕はない。4月上旬に公式戦がスタートできないようであれば、その期間を利用して、一軍デビューを視野に入れたスケジュールに変更させるだろう。
(スポーツライター・飯山満)