これで来年はいくつスポンサーが撤退するのか…。
7月20日18時半から放送された「FNS27時間テレビ 日本一たのしい学園祭!」(フジテレビ系)の開始早々、事件は起きた。
グランドオープニングでひな壇にフジテレビの港浩一社長、関西テレビの大多亮社長が登場するや、総合MCの霜降り明星・粗品が、
「大谷の家、すいませんでした、ということで」
フジテレビの「Live News イット!」取材班がドジャース・大谷翔平夫妻の新居を特定できる形で上空から撮影・放送し、敷地内まで「盗撮」した騒動をイジったのだ。7月5日の定例社長会見で、この過剰報道以降、観光客らが大谷夫妻の自宅に押し寄せる事態を社長が謝罪。その舌の根も乾かぬうちに、他の系列局社長らと爆笑する様子が映し出されたのだ。これにはネットが即反応。
「フジテレビ、全く反省もしてないんだな」
「フジテレビは大谷の自宅を晒した件について社長がサラッと謝っただけで、なかったことにしてるのがバレた」
さらに粗品の暴走は続く。「さんまのお笑い向上委員会」では「宮迫」の2文字に赤いバツ印が書かれたプラカードを持って登場し「アンチ宮迫」 とコメント。トドメは、
「さんまがラジオ番組で『粗品には説教せなあかん』ってなんやねん、あれ」
生放送中にさんまを呼び捨てにした上で、フジテレビのバラエティー番組を発展させた功労者「ビッグ3」のひとりであるさんまに詰め寄ったのだ。
粗品の暴言はさらにヒートアップ。地上波から消えた元事務所の先輩・宮迫博之を一方的に攻撃するのはフェアではないと、粗品をたしなめた西川のりおらの名前を挙げて、言いたい放題。
「さんまさんはいいんですけど、西川のりおとか、嘉門タツオとかも首突っ込んできて。みーんな老害!」
さらに深夜帯の「粗品ゲーム~日本一不条理なお笑いバトル~」で、売り出し中の芸人にアダ名をつける企画では、きしたかの高野正成を「村人三十人殺し」と呼び、横溝正史の「八つ墓村」のモデルになった戦前の凄惨な虐殺事件「津山事件」をネタに、その後も大盛り上がり。深夜に同番組を視聴しているコアな視聴者層はドン引きだ。いわく、
「これイジメだろ」
「実際に30人が殺された事件をネタに笑ってる出演者、全員嫌いになったわ」
「フジテレビのコンプライアンスはどうなっているんだ」
粗品にとっては「悪名は無名にまさる」腕の見せどころだったのだろうが、番組のレベル低下を見越したように、昨年と比較しただけでも大手企業7社が「27時間テレビ」スポンサーから降板してしまった。広告代理店関係者が言う。
「紅麹問題を抱えた小林製薬のほか、神宮外苑再開発を手掛ける三井不動産、さらに『27時間テレビ』開始以来の大スポンサーだった旭化成も、今年は降りてしまいました。番組冒頭から大谷選手の個人情報漏洩をネタに社長が大笑いするナメた対応に、大谷がCM出演するKOSEも、来年はスポンサーを降りるかもしれません。フジテレビの窮状を象徴していたのが、日曜日の昼に放送されたTemuの広告でした」
Temuはアメリカで訴訟を起こされており、韓国のネット掲示板やSNSでは〈Temuを使用してから、PayPalアカウント、銀行口座のメール、個人情報、銀行のクレジットカードが3回ハッキングされました〉などと、個人情報抜き取りを疑う投稿がある。韓国政府の国務調整室は公正取引委員会や関税庁と連携してTemuなど中国ショッピングプラットフォームでの被害点検を行い、総合的な対策が必要だとしている。前出の広告代理店関係者が解説する。
「Temuが日本国内でも取り締まり対象になるのは時間の問題、と言われています。高齢者や子供が視聴する時間帯にこうしたCMを流したフジテレビの社会的責任も問われることになるでしょう。これで来年も『27時間テレビ』を続けるられるのでしょうか」
番組最後の恒例、新人アナウンサーのスポンサー読み上げは、昨年よりさらに短くなってしまった。
(那須優子)