9月の自民党総裁選への出馬に意欲を見せる野田聖子元総務会長は7月25日夜、前回2021年の総裁選で野田氏を支援した渡海紀三朗政調会長、浜田靖一国対委員長、三原じゅん子参院議員らと会食した。直接支援を求めることはしなかったものの、野田氏の呼びかけで開かれた会合であり、出馬に向けて結束を固めたいとの思惑が透けて見える。
ただ、前回とは決定的な違いがある。それは二階俊博元幹事長が野田氏の懇願を受けて二階派から推薦人を出し、出馬に必要な20人に到達できるよう支援したのに対し、今回は二階氏が引退表明し、二階派も政治資金パーティーをめぐる問題で解散してしまったことだ。つまり野田氏は20人確保のメドが全く立ってない、ということになる。
困った野田氏がすがろうとしたのが、二階氏と親しい菅義偉前首相だった。自民党閣僚経験者によると、数カ月前、野田氏は菅氏に会食を呼びかけた。どうしても20人を確保できない時に、協力を要請するためだった。
だが、そんな期待もむなしく、菅氏は月刊誌「文藝春秋」8月号のインタビューで、次のリーダー候補として石破茂元幹事長、加藤勝信元官房長官、小泉進次郎元環境相、河野太郎デジタル担当相、茂木敏充幹事長の名前を順に挙げていったものの、その中には野田氏の名前は入っていなかった。食事をともにしてまでアピールしたものの、菅氏が周辺人物と語る中で、野田氏の名前が出てくることはないという。
野田氏としては、アメリカ民主党のハリス副大統領に便乗して、「日本でも女性初の宰相を」と訴えたいところだが、
「総裁選前にしか、野田さんの名前を聞くことはない」(閣僚経験者)
との厳しい声もあり、出馬に向けての前途は多難のようだ。
(田中紘二/政治ジャーナリスト)