8月1日のパリ五輪「卓球女子シングルス」準々決勝で、世界ランク13位の平野美宇はフルセットの激闘の末、一度はマッチポイントを握ったものの、同ランク8位の韓国・申裕斌(シン・ユビン)に敗れた。
格上を追い詰めながら惜敗し、悔し涙を流す平野に日本中が胸を締め付けられる思いだったが、実は前日に、平野をめぐってちょっとした騒動が起こっていたのだ。
前日は同競技の3回戦が行われたが、平野はインドのマニカ・バトラ(世界ランク28位)を4-1で下し、見事ベスト8入りを果たす。ところがその速報を伝えた記事が、あっという間に削除される事態に。
スポーツライターが事情を説明する。
「スポニチアネックスの記事のことですが、内容の問題ではありません。あっという間に削除されたといいますか、画像が差し替えられたのです。当初、速報記事で使われた画像は、平野がボールを空中に上げてサーブを打つ直前のカット。宙に浮いたボールを集中して見つめる、まさにアスリートという表情の平野のちょうど鼻の真ん前を、白いボールが通過している瞬間の画像でした。平野の鼻がボールに完全に隠れてしまい、かなり印象的な1枚となっていました」
では、なぜ削除されてしまったのか。記事を見た人たちから「真剣な表情なのに笑ってしまった」「ピエロにしか見えない」という投稿があったからだと、前出のスポーツライターは分析する。
「一部からは『奇跡の1枚』と称する声がありましたが、確かに滑稽に見えなくはない。なぜこれを使ったのかとの指摘があってもおかしくはないでしょう。騒動というには大げさですが、それでも、これが大谷翔平なら絶対に使わなかった写真だ、卓球選手を下に見ているのでないか、そんな怒りの意見が聞かれましたし、中にはバズり狙いだと揶揄する人がいましたから」
新たに使われた画像は、平野がガッツポーズする引きのカットだが、少々暗めで見づらかった。やはり、最初のカットの方が平野の真剣な眼差しが見られるという意味ではいい写真だったとはいえ、せっかくの真剣勝負で笑われたら選手は気の毒だ。
矢継ぎ早に更新される五輪速報にメディアはてんてこまいだが、世間は使われる画像にも注目するだけに、細心の注意が必要なのだろう。
(田村元希)