パリ五輪柔道の連日の誤審騒動で、全日本柔道連盟(全柔連)の国際柔道連盟(IJF)からの脱退を望む声が、日増しに高まっている。
男子60キロ級の準々決勝で、永山竜樹が「待て」の後に絞め落とされて一本負けとなっただけではない。男子90キロ級でも、村尾三四郎が決勝戦で見せた内股が一本にならず金メダルを逃すなど、日本に不利なジャッジが続いている。
今の柔道は外国人に有利なポイント制の競技となったことで、「本来の武道」ではなくなってしまった…そんな声はかねてからあった。日本は世界柔道連盟から脱退し、別の組織を作って講道館柔道を継承、そして世界へ普及させるべき、というものだ。
柔道は日本で生まれたが、世界の柔道を統括する国際柔道連盟の本部はスイスのローザンヌにあり、会長にはルーマニア系オーストリア人のマリウス・ビゼール氏が就いている。松前重義氏が1987年に交代して以降は外国人が会長職を務めており、全柔連の意向が反映されない状況が続いている。
「カラー柔道着などが、いい例でしょうね」
長年、柔道の取材に携わるメディア関係者は、そう指摘する。続けて、
「現在は様々な理由で一方の選手が白、もう一方は青の柔道着を着用することなったわけですが、日本では柔道着は伝統的に白または生成色。世界に普及させる際にも、それが不文律でしたからね。いまだに柔道着は白でいいという声が、日本国内にあるのは事実です」
普及か伝統か。今回の誤審騒動で、柔道が岐路に立たされるかもしれない。