パリ五輪スケートボード男子ストリートで2連覇した堀米雄斗選手が履いていたスニーカー、NIKEの「堀米ダンク」がフリマサイトで定価の4倍以上の値をつける「堀米バブル」に沸いている。
「堀米ダンク」の正式名称は「堀米雄斗×Nike SB Dunk Low“Wolf Grey”」。堀米選手とNIKEがコラボして、昨年8月に販売された。本人が愛用していたシリーズ「ダンクロー」をベースに、カラーリングはスケートボードスキルを習得した場所をイメージしたというグレースエードとホワイトレザー。踵には堀米家の家紋「鷹の羽紋」があしらわれている。
スケートボードラインながら、落ち着いた色合いはタウンユースにも使え、インソールには「米粒」で鷹の羽紋が描かれるなど、細部にこだわったデザインが発売当初から海外を中心に話題に。日本国内のNIKE公式アプリで1万7600円で販売されたが、海外では2万円以上の「プレミア」がついていた。それが金メダル獲得の瞬間に、フリマサイトでは8万円超にまで爆上がり。履き古した中古品でも、1万円で売買されている。
同モデルの追加販売はないというが、パリ五輪前の今年5月、NIKEは「堀米ダンク」の新色「アスパラガス」を来年以降に発売すると公表している。新モデルも激しい争奪戦が展開されそうだ。
NIKEといえば、バスケットボールの神様マイケル・ジョーダンと専属契約して1984年に発売した、NIKE特有のエアクッションとジョーダンのあだ名「エア」をかけた「エアジョーダン」が、世界で空前の大ヒット。日本ではエアジョーダンを履いている若者がスニーカー狩りに遭う社会現象が起こるなど、世界のスニーカー市場で「一人勝ち」を続けている。
東京五輪の男子マラソンでは、メダリスト3人がいずれもショッキングピンクが鮮やかな「ネクスト%2」を履いていたことがクローズアップされ、東京五輪後、スポーツ用品店に問い合わせが殺到した。
パリ五輪は後半戦に突入し、水泳から陸上、柔道からレスリングと、競技がガラリと変わる。迷惑な転売ヤーに買い占められる前に「愛用品」を手に入れたい、「次に来る日本のメダリスト候補」はいるのか。
答えは「いる」だ。
筆者が注目したのは、NIKEの公式YouTubeが推している「ブレイキン」と「車椅子テニス」。
NIKEは新種目のブレイクダンス競技「ブレイキン」のアメリカ代表、日本代表、韓国代表選手のオフィシャルユニフォームのスポンサーだ。メダルが期待される日本のShigekixこと半井重幸選手と、その最大のライバルたるアメリカのSunny Choi選手とも契約を結んでいる。Shigekixがダンス中、右手で倒立する「片手フリーズ」でチラ見えするシューズ裏面のデザインは見ものだ。
8月28日に開幕する「パリパラリンピック」車椅子テニスの17歳の新星、小田凱人選手も、NIKEと契約する前から同ブランドのシューズを集めている、スニーカー愛好家として有名だ。
ちなみにShigekixは日本が誇るカシオのG-SHOCKも愛用。その愛用モデルは1万2000円と中高生のお小遣いでも手が届くものから、オンラインストア価格41万8000円の最高級ラインまで揃っており、新競技ブレイキンが盛り上がれば日系企業にもパリ五輪バブルが到来するかもしれない。
新競技についていけないとお嘆きの中高年は「見た目」から入ってみてはどうか。
(那須優子)