日米の金融政策の影響で円高株安が加速しているが、海外旅行を選ぶ人は少なく、国内の観光地ではオーバーツーリズムが発生している状況だ。
以前は物価が安い国として人気のあったタイでは、この1年でバーツ高が進行している。そうした状況の下、
「日本人旅行者は本当にケチになっていますね」
と言って頭を抱えるのが、タイ・バンコクで旅行関連業務に従事するA氏だ。この男性が勤務する旅行関連会社ではサービスを利用した日本人に、タイ旅行に役立つ情報を無償で提供している。しかし最近は、サービスを利用せずに情報を得ようとする日本人が急増しているというのだ。
「LINEでうちのサービスを利用するといって、様々な情報を尋ねてきた日本の企業がありました。社員旅行でタイに行くので安いホテルや夜遊びの情報を教えてほしいと言われたので、私もいろいろ調べてあらゆる情報を送りました。しかし、その後に見積もりを送ると『高い』『予算が厳しい』と言われ、利用は見送りになったんです」(A氏)
ひと昔前であれば、日本の企業はワゴン車をチャーターし、夜の街で派手に遊んでいた。しかし最近は、そういった注文が全くなくなったという。しかも利用見送りになっただけでなく、キャンセルしたその会社は図々しくも追加の質問をしてきたのだと、A氏が続けて明かす。
「タイで回るナイトスポットのリストを送ってきて、タクシーで回るならいくらぐらいになるかと尋ねてきたんです。旅行慣れしていない人たちが夜の店をタクシーで回ると、ボッタクリに遭う可能性が高い。ワゴンをチャーターする方がよっぽどお得なのに…と思いながら、アキレてしまいました」
このような旅行者が増えていると聞くと、同じ日本人として、なにやら悲しい気持ちになってしまった。