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パリ五輪サッカー日本「ベスト8敗退」でわかった「スペインとの大きな違い」

 完全な力負けだった。

 パリ五輪でメダル獲得を目指していたサッカーU-23日本代表が、準々決勝で優勝候補の一角スペインに0-3で完敗。ベスト8で姿を消した。

 日本はベストメンバーを組んで挑んだ。前半11分、中盤でボールを失うと中央からシュートを決められ、今大会初失点。それでも前半はよく戦った。中盤でのボールの奪い合いでは負けていなかったし、右サイドからいい形を作り、チャンスを作っていた。

 そして前半40分、「幻のゴール」が生まれる。右サイドの展開から中央でパスを受けた藤田譲瑠チマが前線の細谷真大にパスを出す。細谷はDFを背負いながらも反転して、シュート決めた。これがVARの介入でオフサイドとなり、取り消される。ボールを受けた時に細谷のかかとがわずかに前に出ていた、という判断だった。

 さらに前半終了間際の52分、右サイドで得たフリーキックの場面。山田楓喜のクロスを、細谷がファーサイドでヘディングシュートするが、これもポストに嫌われた。

 前半を0-1で折り返したが、スペインと対等に戦った上、チャンスも作っていた。

 後半に入り、山田に代えて決定力のある藤尾翔太を投入する。それが裏目に出たのか、右サイドが機能しなくなった。さらに中盤でボールを回され、藤田が守備に回る時間が増えると、細谷にボールが入らなくなる。

 そして73分、コーナーキックから2点目を決められた。86分にもコーナーキックから追加点を奪われて、万事休す。

 最後の大事な試合に、日本の課題が浮き彫りになった。それが「決定力の差」。日本が完全に崩された場面はほとんどなかった。それでもチャンスに決めてくるのが、スペインの強さだ。日本はチャンスを作るが、決めきれない。それが大きな差だった。

 振り返ってみれば、パリ五輪アジア最終予選も含めて、日本が負けた試合は韓国戦(0-1)と、このスペイン戦だけだが、どちらも先制されている。つまり大岩ジャパンは先行逃げ切り型であり、先制されると追いつく力はなかった。チャンスは何度も作るが、いずれもゴールに結びつかない。決定力不足という課題は、最後まで克服できなかった。

 それでも、このメンバーの中でA代表に推薦したい選手はいる。まず、チームのMVPともいえる活躍を見せたGK小久保玲央ブライアン。彼のビッグセーブが何度、チームを救ったことか。彼のセーブから、チームにリズムが出てきていた。そのくらいの存在だった。

 2人目はキャプテンのMF藤田。視野の広さはもちろんのこと、運動量があり、決定的なパスを何度も出していた。

 そして3人目はすでにA代表デビューを果たしているFW細谷だ。フィジカルの強さ、外国人を相手にしても強引に抜ける馬力は魅力いっぱいだ。

 ただ、この3人がA代表に招集され、先発出場できるかといえば、なかなか難しい。それがこの世代のレベルなのかもしれない。

 OA枠の選手はもちろん、久保建英も招集できなかった。そうした状況で臨んだパリ五輪。ベスト8敗退は必然の結果ではないだろうか。

(渡辺達也)

1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップ・アジア予選、アジアカップなど、数多くの大会を取材してきた。

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