パリ五輪の日本バレーボールの戦いは、男女ともにメダルなしに終わった。大会前の世界ランキングで2位にいた男子は52年ぶり、6位だった女子は12年ぶりのメダル奪取に期待が高まっていただけに、天を仰いだ視聴者は多かったことだろう。
女子は予選リーググループBでポーランドとブラジルに負け、ケニアには勝利したものの、1勝2敗で敗退。人気・実力ともに高いキャプテン・古賀紗理那選手はパリ五輪を最後に引退すると発表していただけに、予選を通過して一戦でも長くそのプレーを見たかった。
「初戦のポーランド戦に負けたのが痛かったですね。ポーランドは世界ランキング4位と日本より格上で、直前のネーションズリーグでもストレート負けを喫した相手。とはいえ日本は1セットを先取し、まったく歯の立たない相手ではなかった」(スポーツ紙記者)
男子は予選リーググループCでアルゼンチン戦に勝利したが、ドイツとアメリカに敗戦。最後のアメリカ戦で1セットをもぎ取ったことで、なんとか決勝トーナメントに進出した。しかし、8月5日のイタリア戦であと1点が取れずに惜敗。ベスト8で敗退という悔しい結果に終わった。
2メートル超の選手がたくさんいて、体格的に日本と差があるイタリアだったが、日本はレシーブがよく、粘りのバレーで善戦。あと1点を取りきれなかったことで、キャプテンの石川祐希選手はインタビューで自分を責めていたが、
「彼がいたからこそ、日本はここまで成長したといえます。石川選手は大学在学中からイタリアに渡り、イタリアリーグで活躍してきましたから、イタリアのバレーを熟知している。おそらく選手の特徴や弱点について他のメンバーと共有し、日本の戦略に役立てていたはずです」(前出・スポーツ紙記者)
海外に飛び出す選手が増えていることが、日本をここまで強くしたのは間違いないだろう。
「イタリアでプレーした高橋藍選手、西田有志選手、ポーランドでプレーした経験のあるセッターの関田誠大選手、ポーランドやフランスでプレーした宮浦健人選手…。今の全日本には海外経験者がたくさんいます。かつてのように、実業団選手として日本だけでプレーする選手ばかりなら、日本は長い低迷期を抜け出せなかったでしょう。海外に出れば技術だけでなく、意識も変わります。より強くなりたい気持ちで厳しい練習を積み重ね、ここまできた。勝ちきれるところまで、あと一歩。どの国もいっぺんに強くはなりませんから、日本も4年後の五輪でこそ、メダルの大本命になれるのではないでしょうか」(スポーツライター)
パリ五輪ではメダルは届かなかったものの、見どころはたくさんあった。スーパーレシーブを連発し、アタッカーでもレシーブやトスが抜群だったり、と日本の良さを再認識させてくれた大会でもあった。次のロサンゼルス大会が大いに楽しみになる。