6月28日、1ユーロはついに172円を突破。勇気を出して、7月に開幕するパリ五輪の観戦に行こうと計画している日本人たちの、後日のカード決済に大きな影響を及ぼしそうだ。
というのも、ネーションズリーグで盛り上がった男子バレーボールの「パリ五輪ツアー」に、予想以上に応募が殺到しているからである。
とはいえ、この人気のツアーは一昔前では考えられないほど、代金はインフレ状態。実は応募殺到の裏で、多くのバレーボールファンから「どんな仕事をしてる人が行けるの?」と疑問の声ばかりが聞こえるという。
昨年、同じくフランスで行われたラグビーW杯を現地取材したスポーツライターが、驚きを隠さずに言う。
「ある旅行会社のパリ五輪男子バレーボール、観光があまりできそうにない4泊7日の弾丸ツアーは、1室1名で約180万円です。これは、昨年のラグビーW杯が同じパリ宿泊で、6泊9日で一人100万円前後だったことから考えると大幅値上げですね。もちろん五輪人気の高さはありますが、日数やホテルのレベルを考えると驚異的に高騰したツアー代金といえるでしょう」
また、今回の五輪期間は、普段は2.1ユーロ(どこまで乗車しても同料金)のパリ市内の地下鉄運賃が、4ユーロ(約680円)に値上げされる。ところが、前出のスポーツライターが、問題は地下鉄だけではないと、肩を落とすのだ。
「地下鉄は一日に何度かのることになりますから、それだけで数千円の出費です。これは確かに痛いですが、それ以上に問題となりそうなのは飲食代金。旅行代理店のツアーは、ホテルの朝食バイキングだけしか付いていませんから、ランチとディナーは自腹です。簡単に言ってしまえば、昨年でさえ、パリ市内でペットボトルの冷えている水は1本3.5ユーロ(約600円)でした。それが五輪中は、エッフェル塔や凱旋門といった観光地だと5ユーロ以上になると聞いていますし、当然、レストランは軒並み値上げするようです。2人でそれなりのランチを食べて約1万円、ディナーなら2万5000円以上でしょうね」
では、ツアーをやめて単独でホテルを探して…というアイデアは浮かぶが、これには旅行専門誌のライターが注意を促す。
「パリ市内のホテルは、日本でいう東横インやアパホテルといった中流ホテルの宿泊代が昨年より5~10倍に跳ね上がってます。一泊600ユーロ(約10万3000円)以上、請求されるかもしれませんから注意してください。しかも、パリの中流と言われるホテルはシャワーがまともに出ないで、隣の部屋の声がまる聞こえなんてこともザラですから、日本のアパホテルと同レベルと考えたら痛い目を見るでしょう」
それでも、男性バレーボールの雄姿を見たいというファンが、ツアーに応募している。
「結婚資金をはたいて行く」という大胆な声があれば、「パリでは屋台のパンしか食べません」と、ジリ貧旅行の決意表明といった女性たちの声が聞かれる。どうやら、自民党のエッフェル姉さんのような〝お遊び〟とは気合が違うようだ。
それにしても、これだけ多くの女性たちに貢がせられる、現在の男子バレーボールの人気は素晴らしい。ぜひ「行ってよかった」と、全員が笑顔になる結果を期待したいところだ。
(飯野さつき)