楽天が2軍調整中の田中将大の取り扱いに苦慮している。
田中は8月7日、2軍の練習試合として、富士大学戦に先発登板。3月20日のイースタン・リーグDeNA戦以来、140日ぶりの実戦マウンドに立った。1回を投げて、2安打2失点。最速146キロを記録した。
日米通算200勝まで残り3勝。昨年10月に右肘のクリーニング手術を受けた田中は春季キャンプを1軍でスタートし、オープン戦では登板ごとにイニング数や球数を増やしていった。ところがコンディションが上がらず、開幕から2軍での調整を続けてきた。
登板後、田中は今季中の1軍復帰を示唆したが、この発言に首脳陣とチーム関係者は愕然としている。地元マスコミ関係者はこう話す。
「楽天は優勝こそ難しい状況にありますが、クライマックス・シリーズに出場できるAクラス入りは十分に狙えるため、今後は負けられない試合が続く。いくら球団の功労者とはいえ、田中のために無理して何度も登板のチャンスを用意できる状況にないですからね。このまま下(2軍)でおとなしくしていてほしい、というムードです」
ここへきて投げられることをアピールし、残留ムードを作られても…ということなのか。
確かに球団は田中の200勝で商売するつもりだったが、
「ここ2、3年は『やるやる詐欺』みたいなもの。毎年、億単位の年俸をドブに捨てているような状態でした。仮に来季、チームに残留しても、200勝できる保証はないですから」(前出・地元マスコミ関係者)
球団OBの中には、こんなことを言う者もいる。
「2度目のトミー・ジョン手術を受けた大谷翔平が、すでにキャッチボールで140キロ台のストレートを投げるなど、順調にリハビリが進んでいる。田中はその大谷と現時点で大差ない球速でしょう。本当に1軍復帰できるのか、不安です」
球団としてはこれまでの経緯を考えれば、解雇通告はファンの手前、なかなか難しい。大騒ぎになる可能性があるからだ。
球団としては推移を見守るしかないようで…。
(阿部勝彦)