ドジャースの大谷翔平は、打順変更後も「走る」のか。
チームのリードオフマンであり、ムーキー・ベッツが8月12日(現地時間)のブリュワーズ戦から復帰する。米メディアはこぞって「どこを守るのか」と、飽和状態となった内野手勢に言及。しかし、問題はそれだけではなかった。
今季のドジャースは「1番・ベッツ、2番・大谷」でスタート。デーブ・ロバーツ監督は、ベッツ不在の間に1番を任せていた大谷の打順をそのまま動かさず、「1番・大谷、2番・ベッツでいく」とメディアに答えている。
大谷は1番打者として、盗塁を量産。MLB史上初の「45-45(45本塁打&45盗塁)」の達成も見えてきた。もし打順が2番に下がれば、1つ先の塁にベッツがいることになる。「1番・大谷」の打順をキープするのは妙案だが、懸念材料がないわけではない。
「今春キャンプ中、デーブ・ロバーツ監督が大谷の盗塁について『走れると判断したら好きにしていい、と伝えた」と語っていました。でも、走る、走らないの判断を大谷に任せたままでは、ベッツの打撃に影響します。これまで1番・大谷の次を打ってきたテオスカー・ヘルナンデスとベッツは『格』が違う。ヘルナンデスは大谷が走るまで待ち、盗塁後も大谷を進塁させようと、右方向へのバッティングをしてきましたが…」(現地記者)
ベッツは2018年のMVPに選ばれた、チームの看板選手。大谷の引き立て役にはできないだろう。ロバーツ監督は「2番・ベッツ」の生かし方までは語っていない。ただ、ベッツ復帰後のドジャース打線は、大きく変わっていきそうである。
「ドジャースはナ・リーグ首位をキープしていますが、2位パドレスとのゲーム差は縮まってきており、自由に打って走ってきた攻撃は続けられないでしょう」(前出・現地記者)
ベッツと同時期に復帰してくるのが、ベテランのミゲール・ロハスだ。ロハスは内野ならどこでも守れるが、本職はショートだ。
「負傷者が続出した間、ショートを守ってきたのがニック・アーメド。ベッツの次に復帰が伝えられるトミー・エドマンはどうするのか。現在は二塁を守っていて打撃好調のギャビン・ラックスもいます。シーズン途中で補強したアーメドはゴールドグラブ賞を受賞した守備の名手。使わないのはもったいない」(メジャー関係者)
ベッツは二塁手でスタートしたが、「ショートでの試合出場」を希望しているという。だが、外野で6度もゴールドグラブ賞を獲得した名手でもある。
「ベッツが負傷し、アーメドをトレード獲得しました。代役の内野手がゴールドグラブ賞受賞者だなんて、贅沢すぎます」(前出・メジャー関係者)
ベッツをどのポジションで使うのか。補強資金が潤沢なドジャースの悩みは、選手不足で苦しむ他球団とはだいぶ異なるようだ。
(飯山満/スポーツライター)