サッカーの2026年北中米ワールドカップ(W杯)の出場権をかけたアジア最終予選がいよいよ始まる。
グループCに入った日本は、オーストラリア、サウジアラビア、バーレーン、中国、インドネシアとホーム&アウェー方式で戦う。各組2位までが出場権を獲得できるが、3位と4位はプレーオフに回り、本大会出場を目指す方式となっている。
現状、最大のライバルはオーストラリアとサウジアラビアだが、ダークホースとされるのは、9月5日の初戦で激突する中国だろう。
FIFAランキングは日本の18位に対し、中国は87位とかなり差はあるものの、侮れないと言われているのが「帰化政策」だ。
前回の22年カタールW杯アジア最終予選では、点取り屋のFWエウケソン(ブラジル出身)、世代別のイングランド代表経験のDFティアス・ブラウニングなど4名の帰化選手が中国代表に選ばれ、戦力アップを図った。サッカーライターが詳細を説明する。
「2月に新監督に就任したブランコ・イバンコビッチ氏は、オマーンを率いて日本代表に勝利した経験がある知将です。最終予選突破のために9名の帰化選手を選ぶと報じる中国メディアがあるほどで、攻守の要として期待されるFWアラン(ブラジル出身)やティアス・ブラウニングに加え、ノルウェーのラインハノムに所属する攻撃的MFジョン・ホー・サテル(ノルウェー出身)を新たに帰化させるよう働きかけています」
実際に帰化選手が何人選ばれるかは現状不明だが、5月には中国スーパーリーグの深圳新鵬城足球倶楽部に所属するDFドゥガリッチ(セルビア出身)が、自身のSNSで「中国国籍をください」とアピールしている。外国人選手たちがW杯出場の絶好のチャンスととらえていることは間違いなさそうだ。
つまり、その多国籍軍団をイバンコビッチ氏がまとめあげれば、日本にとってはかなりの脅威となる。その一方で、この中国の「帰化政策」が必ずしも順風満帆ではないという声がある。〝最大の敵〟は国内の世論だ。
「帰化政策には大金が動いていると言われています。にもかかわらず、これまで中国代表は好成績を出してはいない。むしろ、国内組の世代交代に失敗して日本と韓国には水をあけられるばかり。熱心なサポーターからはもっと若手の育成に力を入れるべきだと、怒号に近い反対の声が上がっているんです」(前出・サッカーライター)
02年の日韓大会に初出場して以降、中国代表はW杯から遠のいている。それだけにいくら国内で反対があろうと、48カ国に出場枠が広がった次回大会に向けて、なりふり構わないメンバーで挑んでくるのは確実だ。
W杯アジア最終予選は来年6月まで続く長丁場だけに、中国が厄介な存在に化ける前に日本代表としてはその出鼻を叩きたいところだ。
(風吹啓太)