不祥事にまみれて追い詰められた岸田文雄総理の「身を引く」決断により、9月の自民党総裁選で世代交代の象徴として有力候補とみなされているひとりが、小泉進次郎元環境相だ。
これまでは父親の小泉純一郎元総理が、50歳になるまでは総裁選に出馬しないよう言い渡しているとして「父親の壁」の存在が指摘されていた。ところがどうやら、その問題は解消されたようだ。代わりに浮上しているのが、妻でフリーアナウンサー・滝川クリステルの「子育ての壁」だった。
小泉元総理は昨年12月に自民党の山崎拓元幹事長らと会食した際、進次郎氏には「50歳になるまでは(総裁選に)立ってはならないと申しつけてある」と披露した。
ところが進次郎氏によると、父親からそんな話は聞いたことがないらしく、8月10日にラジオNIKKEIのポッドキャスト番組に出演した際には、こう断言している。
「私、今43歳ですけど、仕事上の様々な判断、決断をいちいちオヤジに仰ぎますか。歩みを進めるも引くも、自分で決めるのは当たり前」
総裁選出馬に支障はないと強調したのだった。
進次郎氏を支持する自民党議員によると、むしろ「壁」として立ちはだかっているのは、妻の滝川クリステルだ。というのも小泉家では、4歳児の長男と昨年12月に生まれた長女の子育て中。さらには老犬の介護もあり、滝クリは自身のブログで〈体が一つじゃ足りないと思うことは多々あります〉と明かしている。進次郎氏も子育てへの協力を求められ、政治家として夜の会合を優先…ということは許されないそうだ。
〈毎晩、夫婦共々、意識があるのかないのかくらいの勢いで寝落ちする日々です〉(ブログより)という中で、
「だから総裁選に出馬する余裕などないとして、反対される可能性がある」(前出・自民党議員)
一方で、進次郎氏支持の別の自民党議員は、
「ファーストレディーになるチャンスは、そうあるものではない。最終的には奥さんは反対しないはず」
出馬する際は「子育て」と「介護」の問題も注目されそうだ。
(田中紘二/政治ジャーナリスト)