今週は夏最大の重賞・札幌記念(GⅡ、芝2000メートル)が行われる。「スーパーGⅡ」と呼ばれるにふさわしい、3頭のGⅠ馬が出走予定である。
おそらく人気の中心は、昨年の優勝馬プログノーシスだろう。最後方から捲って4馬身差で勝利したレース内容は圧巻だった。
その後は4戦して金鯱賞しか勝っていないが、負けた3レースの勝ち馬はイクイノックスとロマンチックウォリアーという歴史的な名馬なのだから、仕方がない。
なによりいいのは、臨戦過程だ。金鯱賞勝ち⇒クイーンエリザベスⅡ世Cの2着を経て、ひと息入れて出走するのは昨年と全く同じだ。最終追いは函館芝コースで行われ、単走でしまい重点のソフトなものだったが、栗東でしっかり乗り込んできたため、何の心配もいらない。騎乗した清山助手は「どっしりして成長が感じられる」と、デキの良さに太鼓判を押す。心配があるとすれば、スタート難だろう。必ずと言っていいほど出ていかないのだ。
それに続くのが、皐月賞馬ジオグリフとダービー馬シャフリヤール。ジオグリフは一昨年の皐月賞以降は勝ち星がないが、この春はGⅠで2戦続けて差のない競馬で、復調気配をうかがわせる。ノドに疾患があるのが気掛かりだが、今のところは治まっているようだ。
函館芝コースでの単走追いでは、力強い脚さばきで4F52秒5~1F11秒8をマーク。デキの良さをアピールしてみせた。札幌では札幌2歳Sを勝っているように、コース相性もいい。期待していいだろう。
シャフリヤールも2年以上、勝利から遠ざかっているが、昨年の札幌記念で11着になった以外は全て、掲示板入りしている。前走のドバイシーマクラシックは、勝ち馬から2馬身差の2着。力の衰えはない。
函館Wコースでハワイアンアイコン(3歳未勝利)相手に行った追い切りは、大きく追走する形から徐々に差を詰め、最後には余力を残したまま1馬身半かわしてみせた。昨年は道悪に泣いたが、良馬場なら楽しみは大きい。絶好調の武豊が騎乗するのも好材料である。
穴ならば、エルムS(2着)から中1週で参戦するドゥラエレーデを推奨したい。近5走は全てダートを使ってきたが、芝がダメなわけではない。一昨年のホープフルステークス(GⅠ)を勝っているのが、その証拠である。パワータイプなので、洋芝はピッタリだ。札幌記念はこの2年、上がりがかかって力がいるようになっているだけに、チャンス十分とみた。
(兜志郎/競馬ライター)