8月18日に札幌競馬場で行われたGⅡ・札幌記念(芝2000メートル)。結果は5番人気のノースブリッジ(牡6)が快勝し、単勝1450円、複勝580円の好配当となった。
一方、断然の1番人気(単勝1.3倍)に推されたプログノーシス(牡6)は、馬券圏外の4着に敗退。その結果、2着馬ジオグリフ(牡5)との馬連は4660円、3着馬ステラヴェローチェ(牡6)との3連複は9260円、3連単は8万3130円の中波乱となった。
言うまでもなく、札幌記念は今秋以降の古馬GⅠ戦線を占う、注目のステップレースである。ただし、イクイノックス引退後の今年は、豪傑牝馬のリバティアイランドを除き、傑出した牡馬が見当たらず、レースのたびに着順が大きく入れ替わる可能性が大きい。
それだけに、今年は札幌記念のレース内容を丹念に分析し、秋の重賞戦線に向けた「勝利の方程式」を導き出すことが、より重要になる。まずは明暗を分けたノースブリッジとプログノーシスの次走以降を占ってみたい。
今回、ノースブリッジが最後の直線で見せたパフォーマンスは「完勝」に近いものだった。しかし、スタート直後から好位の2番手をラクに取れたこと、前半1000メートルの通過タイムが60秒5とスローだったこと、そして当日の芝コースが先行有利で内有利のコンディションだったことを考慮すると、鞍上の岩田康誠がレース後に認めているように、全てに恵まれたレースだったと言える。
しかも中央場所で実施される中距離GⅠレースは、最後の直線が札幌よりはるかに長く、かつ、最後の直線や道中には過酷な坂がある。今回のように好位を取れたとしても、後続馬の餌食となる可能性は大きい。
したがって、同馬が次走以降の重賞戦線で人気を背負うようなら、「迷わず消し」が勝利の方程式となるのだ。
一方、プログノーシスの敗因はゲート内で暴れて出遅れ、位置取りが最後方になってしまったことに尽きる。メンバーを見渡すと、確かに同馬の能力は一枚抜けていたが、直線の短い小回りの札幌では、さすがに届かない。
だが、中央場所の中距離GⅠとなれば、話は別。もともとゲートの出が悪い馬だが、最後の直線が長い坂のあるコースなら、ゴール手前でキッチリと差し届くはずだ。つまり、同馬が次走以降の重賞戦線で人気を落とすようなら「迷わず買い」が勝利の方程式となるのだ。
いずれにせよ、ポイントとなるのは人気。合言葉は「オッズに聞け」である。
(日高次郎/競馬アナリスト)