痛恨のサヨナラ負けに、巨人スタンドからは大きな悲鳴が上がった。阿部慎之助監督は1-1で迎えた延長11回裏、7番手投手に平内龍太を送り出したが、渾身の153キロストレートをDeNAのオースティンにレフトスタンドに運ばれると、劇的なサヨナラ負けで幕を閉じた。
試合後、阿部監督は「さっぱり終わったな」と淡々と語ったが、一方で8回の坂本勇人が同点タイムリー二塁打を放ったシーンには「よく同点に追いついたし、いいところはたくさんあったので」とプラスに捉えた。
オースティンはこの日、3三振しており、初球から力勝負に挑んだ平内だったが、直球が高めに浮いたところを狙われてしまった。コントロールが安定しない平内を起用した阿部監督の采配には疑問の声もあろうが、問題はそれだけではない。8回に同点タイムリーを放った坂本に、代走・湯浅大を送った決断に、どうも釈然としないのだ。
そもそも湯浅を代走に送った時点で、すでにツーアウト。打率2割2分5厘の門脇誠に期待をかけるよりも、坂本を温存する手はなかったのか。
二死二塁の時点でDeNAはかなりの前進守備を敷いており、シングルヒットではいくら俊足の湯浅でも、帰塁できる可能性は低い。湯浅はそのまま三塁の守備に入ったが、次の打席では長野久義が代打に送らている。
坂本は守備の際、腰を気にするような素振りを見せていたため大事を取ったのだろうが、ムダに選手を使う謎采配に見えてしまった。
この日は菅野智之が先発だったこともあり、女房役に小林誠司が起用されたが、相変わらずの貧打でいいところはなし。小林は4回、三遊間のゴロでヘッドスライディングするなど意地を見せたが、誰の目にも完全アウトのタイミング。打撃好調の大城卓三が先発出場していれば、結果はどうなっていたか。
試合後にたらればを語っても意味はないが、阿部采配はこのままで大丈夫か、と思ってしまう試合だった。
(ケン高田)