在庫一斉セール、叩き売り状態でも買い手がつかないのか。メッツ傘下3Aシラキュースに所属する藤浪晋太郎投手が敵地でのナショナルズ傘下3Aロチェスター戦に救援登板し、2回を無安打無失点、1人の走者も出さず5三振を奪う圧巻の投球を見せた。
売り物である速球は最速99.6マイル(約160.3キロ)を記録。全23球のうち21球がストライクと、いつになく制球が安定していたが、実際はあまりアピールになっていないという。長年、メジャーリーグを取材するスポーツライターは、その理由を次のように話す。
「数字だけを見ると今季一番ですが、8点ビハインドの場面。しかも3番手での登板ですからね。そんな場面で、普通は来季以降に期待できる有望な投手を登板させても意味はない。今季で契約が切れるし、ハッキリ言って単なる敗戦処理要員という扱いですからね」
藤浪サイドとしては、今回と同様の投球を続けていけば、来季以降の光明が差してくると期待しているようだが、実際は難しいのだと。スポーツライターが続ける。
「来季もアメリカでのプレーを望んでいる藤浪としては、単年でのマイナー契約ならジャパンマネーを期待して獲得に踏み切る球団があると思っているようですが、そんなところが出てくるかどうか。あるとすれば、メジャー出場前提となる40人枠から外す措置であるDFAになった時点で、獲得に乗り出しているはずですからね」
置かれている状況は厳しいのである。
古巣・阪神は球団史上初の連覇にブレーキがかかり始めているが、熱狂的な虎党を含めたチームの内外から、「藤浪がいてくれれば」という声は聞こえてこない。スポーツ紙遊軍記者は、
「日本に戻って独立リーグから出直すぐらいの気持ちでやらないと、現役続行すら難しいかもしれない」
いよいよ藤浪の進退は窮まろうとしている。
(阿部勝彦)