8月21日(水曜日)にイギリスのヨーク競馬場で開催されるGⅠ・インターナショナルステークス(芝2050メートル)。発走時刻は現地時間15時35分(日本時間23時35分)で、今年は日本調教馬からドゥレッツァ(牡4)が参戦するため、JRAの即PATで馬券が発売される。
インターナショナルSは世界トップレベルの中距離GⅠに位置づけられており、今年も英ダービーを快勝したシティオブトロイ(牡3)をはじめとして、錚々たる外国調教場が駒を進めてきた。
一方、昨年の菊花賞を制したドゥレッツァは、今年の天皇賞・春でまさかの大敗(15着)を喫した直後、右第1指骨を剥離骨折していたことが判明。それが復帰第1戦にインターナショナルSを選択した背景には、今秋のジャパンカップ(東京・芝2400メートル)を見据えた、陣営のただならぬ「皮算用」があったと言われている。
あまり知られていないことだが、インターナショナルSを勝った日本調教馬がジャパンカップに出走した場合、JRAがその着順に応じて褒賞金を上乗せする、という仕組みが存在する。具体的には、4着以下の馬には10万米ドル、3着馬には50万米ドル、2着馬には80万米ドル、そして1着馬には200万米ドルの褒賞金が、同レースの本賞金とは別に支払われるのだ。
200万米ドルとなれば、1ドル145円換算で2億9000万円。仮にドゥレッツァがインターナショナルスSとジャパンカップを連勝した場合、インターナショナルSの1着本賞金(70万8875ポンド)に加え、ジャパンカップの1着本賞金5億円と褒賞金2億9000万円を合わせた約8億円のカネが舞い込むことになるのだ。
事実、ドゥレッツァを管理する尾関知人調教師(美浦)は、日本メディアの取材に応じる形で概略、次のように舞台裏を吐露している。
「春の天皇賞に出走する前から、『日本のGⅡに行くよりは海外のGⅠへ』との要望が、オーナーサイドからありました。インターナショナルSに勝てば、ジャパンカップで最大200万米ドルの褒賞金が出ることもあって、海外遠征を選択しました」
陣営の皮算用や、いかに。ドゥレッツァの走りが注目されるゆえんである。
(日高次郎/競馬アナリスト)