久しぶりに、いいプロレスを見た。8月26日「有吉クイズ」(テレビ朝日系)でのことだ。
この日の企画は、知られざるグラビア撮影の裏側をクイズにした「グラビア業界Q」。冒頭、ゲストの熊田曜子とえなこ(コスプレイヤー)がスタジオに登場すると、憮然とした表情の有吉弘行が、
「ちょっとスタッフに伝え忘れてるんですけど、僕、熊田曜子さん、もう共演NGなんで。今日は真面目にやりますけど、今日をもって共演NGです。めちゃめちゃ腹立ってます」
なぜか怒りを露わにしたのである。
「なんでですか!」
大きな声で不思議がる熊田に対し、有吉が吐き捨てる。
「ロンハーの運動会、俺、絶対許しませんから」
コトの発端は、今年6月に放送された「ロンドンハーツ 女性芸能人スポーツテスト2024」(テレビ朝日系)だった。
この日、最年長で各競技に参加した熊田に対し、有吉は終始「昔のロンハー」を想起させるほど強くあたり、熊田が走り高跳びに挑戦する際に至っては、助走する熊田に向かって「ミスれ! ミスれ!」と野次まで飛ばす始末。
結果、リズムを崩して失敗した熊田はマジ泣きをしながら「ムカつく、本当に!」とキレてしまい、見かねた藤本敏史(FUJIWARA)が「もう1回やらせてあげて」と熊田の再挑戦を提案。しかし有吉は「ダメだよ、ルールだもん」と切り捨てる。これが放送後にSNSで話題となり、有吉の言動に批判が集まったのだった。
この一件の映像が改めて流れると、またまたバトルが始まった。
「クソだろ。どんだけバラエティーやってきてんだよ!」
「じゃあ、今日はちゃんとやって下さいね」
「こっちのセリフだろ!」
双方ともに、臨戦態勢を崩さない。
が、いざクイズが始まると、誰よりも前のめりで挑む有吉。解答に対する補足説明を真面目に聞く。
出演者の正解ポイント横並びの状態でいよいよ迎えた最終問題の場面では「熊田曜子がデビュー以来、ずっと守り続けているポリシーとは何でしょう」というクイズに対し、速攻で解答権を獲得した有吉が「股間のアップなし」と答えると、これが一発で正解。見事、優勝に輝いた。その後に展開された有吉と熊田のやり取りはこうだ。
「やっぱり俺は(熊田を)追いかけてきたからね。『(アップを)見たいなぁ』と思うけど、見れてきてないのよ」
「めっちゃ嬉しい! 有吉さん大好きなんですね、熊田曜子のこと」
とんだ茶番と侮るなかれ、最近ではすぐに「炎上した末に和解」「SNSで泥試合」になることが多々あるこういった争いを、しっかりエンタメに仕上げてみせた有吉と熊田。激しくいがみ合っているように見える選手同士の方が、実は根底に強い信頼関係があることが多い。結果、ただの喧嘩試合でなく名勝負となった数々の闘いのように、これは実によくできたプロレスだったと思うのだ。
(堀江南)