犯罪大国と称されるアメリカには、犯罪や事件捜査に特化したドキュメンタリー番組が数多く存在する。刑務所への潜入や法廷の映像公開、さらに未解決殺人事件の真相に迫るCSの人気番組が放送から20年を迎え、公式YouTubeチャンネルを開設している。犯罪・捜査チャンネル「Crime + Investigation」だ。
マニアに絶大な人気を誇るこの番組で取り上げられ、大きな話題になったのが、ケイト・バッツという魔女の呪いにより、200年にわたって一族が不可解な死を遂げたとされる、通称「ベル・ウィッチの呪い」。その謎を解き明かす「Cursed:The Bell Witch -呪われた一族の血-」と題するドキュメンタリーだった。
ベル・ウィッチの呪いとは、19世紀にテネシー州北西部にあるロバートソン郡の町に住んでいたベル一家を襲った魔女伝説のことっだ。アメリカで20ドル札の肖像になっているアンドリュー・ジャクソン第7代大統領が、この家で起った数々の怪奇現象を調査するため調査団を送り、報告書を提出させたことはよく知られる話。現在もアメリカ史上最恐の怪談話として知られている。
2008年にはこの伝説を題材に描かれた映画「アメリカン・ホーンティング」が全米で公開され大ヒットしたが、ポルターガイスト現象を世に知らしめたのが、この「ベル・ウィッチの呪い」だとされる。
物語は1817年に遡る。農夫のジョン・ベル・シニアが、畑で犬に似た謎の生物に向けて発砲。すると娘ジェーンが突然、悪夢にうなされるようになる。その後、妻のルーシーや息子のドリューにもポルターガイスト現象が起こるようになり、ジョンが霊媒師を呼ぶと、これらの現象が「ケイト・バッツ」と名乗る女性の霊により引き起こされていたことが判明したのである。
霊媒師によれば、ケイトは近隣住民から魔女として忌み嫌われ、なんとベル家所有の牧場近くにある洞窟に他の魔女らと夜な夜な集まっては、怪しげな儀式を行なっていたこともわかった。
ところが霊媒師による悪魔祓いも効果がなく、高熱に見舞われたジョンは1820年12月19日に、衰弱死することに。伝承によれば、ジョンの遺体が埋葬される際、洞窟からは魔女たちの勝ち誇ったような笑い声が漏れてきたのだと…。
しかしジョンが死んでも、怪奇現象が終わることはなかった。以降もこの屋敷で生まれた長男が、次々と謎の死を遂げたのである。その噂は広がり、この屋敷を見ようと全米から見物客が訪れるように。そのひとりがのちに米大統領になるジャクソンだったというわけである。
「Crime + Investigation」にはなんと、ベル一家の末裔も登場する。はたして真相は究明されたのか。興味のある方は、YouTubeチャンネルをチェックしてみてはいかがだろうか。
(ジョン・ドゥ)