出版された著書や機関誌によれば、イギリスのサッチャー元首相や、アメリカのクリントン元大統領に、ソ連のゴルバチョフ元大統領、そしてマザー・テレサやインドのサイババといった世界の著名な指導者と交流を持つ。ローマ法王ヨハネ・パウロ2世との謁見時については「あとはあなたに頼みますよ、と3度言われた」などと語って、3万人の信者から1000億円もの金を騙し取る…。
2000年5月、教団幹部24人とともに詐欺罪容疑で逮捕(うち15人が起訴、11人に有罪判決)されたのが「法の華三法行」の設立者、福永法源代表だ。
福永代表が天上から「キリスト、釈迦に次ぐ最後の救済者」との「声」を受け、活動をスタートさせたのは1986年。翌年には静岡県富士市に「天声村」と称する施設を建したが、
「信者らが病院の前などで、研修に参加したことで病気が治った、という体験談を掲載した同氏の著書を配ってセミナー参加を促す。そして足裏診断で『このまま放置していたらガンになる』などと不安を煽ります。300万円以上する高額な掛け軸を購入させるなど、藁にもすがる人々からなけなしの金を引き出しました」(当時を知る社会部記者)
驚くことに、4泊5日の研修費用は225万円で、睡眠を奪い精神的に極限状態に追い込むことで信者をマインドコントロールしていたというから、悪質である。
1995年の全盛期には、東京ドームを信者で一杯にしたことがあるが、翌1996年頃から教団活動が社会問題化。全国各地で修行代の返還などを求める訴訟が相次いだ。
最終的には福永代表を含む主要幹部が軒並み逮捕。2008年には福永代表にも懲役12年(求刑は懲役13年)の実刑判決が下り、栃木県の黒羽刑務所で服役することになった。
ところが刑務所内での態度がよほどよかったのか、服役から6年後の2014年に出所。古希を迎えた翌2015年4月5日のキリスト復活祭には、団体主催の「復活祭」に登場する。「天上界21の天法大師空観法主」を名乗ると、会場に詰め掛けた熱狂的信者からは、叫び声にも似た大歓声が沸き起こったというから、驚くばかりだ。
そんな福永代表は2016年4月に、自身の半生を描いた映画「塀の中の神様」で、本人役として俳優デビューを飾っている。記念イベントにはかの国際派女優・島田陽子が福永代表の母親役として登壇すると、
「先生(福永代表)のお母様を演じるなんて、本当におこがましい限りです」
そう語る彼女の表情に信者然とした姿を見たことを、今も覚えている。
(丑嶋一平)