このやり取りだけなら「最も上司にしたくない人間」の代表だろう。
台風10号に振り回された8月後半、スポーツイベントはその被害を受けた最たる例だったわけだが、プロ野球は台風接近と新幹線の計画運休の影響で8月30日~9月1日のバンテリンドーム(名古屋)の「中日×DeNA」で事前中止が告知されるなど、その対応に追われた。
そんな中、30日こそ中止になったものの、31日と1日に行われたのが甲子園球場での「阪神×巨人」。結果は1勝1敗で、3位の阪神は上位に迫ることが叶わなかった。
確かに、優勝争いに食い込むために連勝が命題だった阪神だが、相手は首位争いをしている巨人だ。2戦で痛み分けはやむなしの部分があるはずだが、2戦目の負け方について、ファンがあ然とするほどベンチのイライラが頂点に達していた。
理由は1-3で敗れた1日の一戦が7回コールドゲームだったこと。だが、この7回打ち切りが阪神・岡田彰布監督の人間性をあぶり出してしまったと、もっぱら非難の対象となっている。スポーツライターがあきれた表情で話す。
「度重なる攻撃のチャンスを潰し、自軍のエラーが絡んで巨人に決勝点を与えた内容に不満だったことは確かでしょう。しかも、その直後の攻撃でコールドになったわけですからね。しかし、試合後の対応は最悪でした。取材記者に対して、岡田監督は『しゃべる気にもならん。台風の雨やろ』とぶ然とした態度を見せ、さらに『天候って、台風で3試合中止にしてるところもあるやないか。何言うてんねん、お前。この天気やろ、台風』と、恫喝まがいのコメントを発していました。岡田監督がいきなり台風を持ち出したことで、記者は天候が敗因なのかと聞こうとしたはずですが、それを遮るように…。このやり取りを聞いた野球ファンは『だったら先に点取って勝てや』と一刀両断です。記者にこんな態度で接する監督は、世界中のプロスポーツでもあまり聞いたことがありません」
実はプロ野球では8月27日の試合から連盟管理節/連盟特別管理試合となり、試合挙行の可否の決定や試合開始予定時刻の変更などは、主催球団ではなく連盟管理に移っていた。
岡田監督がこの制度への不満を露わにしたと考えられるが、決めたのは記者ではない。ついでに言及すれば、1日の試合前に雨は降っておらず、しかし試合後半には雲行きが怪しくなるという予報が出ており、コールドゲームになる可能性は甲子園球場を訪れたファンたちでさえ懸念していた。
無論、それに対応するのが指揮官である岡田監督の一番の仕事だったはずで、もしも巨人と逆のパターンなら「そら台風やから先に点取らな」とドヤ顔だっただろう。
勝てばベラベラ、負けると無視か恫喝。これでは記者が太鼓持ちになるしかないという意見が出ていたが、優勝争いから遠のいたあたりから、岡田監督の器の小ささが出ている、という声は多い。
「8月14日の東京ドームでの今季最終戦では、完封負けにヘソを曲げて恒例のファンへの挨拶をボイコットしました。そして、今回はコールド負けで自分の采配ではなく台風のせいにして記者にあたるわけですから。全国レベルの人気球団ですからそれでもファンやメディアはついてきますが、野球にさほど興味のない人からは『虫けらレベルの人間性』と言われていることを少し気にした方がいいかもしれません」(前出・スポーツライター)
どれだけないがしろにされようと、熱狂的に応援し続ける阪神ファンと在阪メディアの「懐の深さ」に改めて敬意を表したい。
(田村元希)