身長193センチの大谷翔平が小気味よく走る、走る…。
悲願の「リーグ優勝、ワールドシリーズ制覇」に向けて、そして前人未到の「50本塁打・50盗塁」に大きく前進した大谷が「ゲンを担いで」履き続けているのは、愛犬デコピンがプリントされた特製スパイクだ。
8月17日にドジャース公式インスタグラムでデコピンスパイクを披露して以降、大谷はデコピンスパイクで盗塁を決め続け、8月の盗塁数は15、成功率はなんと100%だった。今季通算の盗塁成功率はここまで92%と、あのイチローの通算盗塁成功率81%を凌駕している。
デコピンプリントは特別オーダーだが、ニューバランスのロゴが「金色」に輝く大谷モデル「Ohtani v1 Metal WT1」は、ニューバランス通販サイトで買える。
大谷が日本全国の小学校にグローブを寄贈したことで知名度が上がったニューバランスの野球製品の中でも、スパイクは軽量でフィット感があり、甲高幅広のクセつよ足でも負担なく履けるのが特徴。ポルシェからBOSS、グランドセイコー、西川の布団まで、大谷の愛用品は売り上げアップ、通販サイトで即完売するが、さすがに野球のスパイクとなるとまだ「完売御礼」とはいかない。
大谷は新記録と地区優勝だけでなく、スポーツシューズ市場にも戦いを挑んでいるのだ。アスリートのシューズ、スパイクのシェアトップはこの30年、「NIKE」一強が続いており、大谷をもってしても、市場シェアは変わらない。
だが8月に閉幕したパリ五輪では、ちょっとした異変があった。男子マラソンで6位入賞した赤﨑暁選手は、鮮やかなミントブルーのニューバランスを愛用。バスケットボール男子日本代表が履いていた、目にも鮮やかなASICSのビビッドイエローのバスケットシューズも、世界的に注目された。
サッカーのスペインリーグでは、選手が愛用するスパイクのシェア4位にミズノが食い込んでいる。アメリカ東海岸ボストン発祥のニューバランス、そして日本のスポーツメーカーも、NIKEとの差をジワジワと縮めているのだ。
野球のスパイクは一般的に高校野球の選手で半年、プロ野球選手で30試合が「換えどき」と言われる。大谷がデコピンスパイクを片方だけ履いているのは、9月末のシーズン終了、さらに10月から11月2日まで続くワイルドカードからワールドシリーズまで、ゲンのいい愛用品で走り続けるつもりだからだろう。
(那須優子)