サッカー元日本代表の岩政大樹氏が鈴木啓太氏のYouTubeチャンネルで、古巣・鹿島アントラーズの惨状を明らかにした。
岩政氏は2022年に鹿島のトップチームコーチに就任。スイス人のレネ・ヴァイラー監督の下で古巣を鍛え上げていた。しかし同年8月にヴァイラー監督が契約解除になると、監督に就任。鈴木氏が、
「同世代の中ではビッグニュースになって『いちばん最初に岩政が監督やるらしいぞ。しかも鹿島だぞ』みたいな話になった」
と驚くほどの大抜擢だった。ところが監督になってみると、
「(チームの方向性について)何を考えるということもなく『次、どうしようかな』って。(クラブは)なんの話もせず『やってくれるか?』という話だった」
場当たり的な人事であると感じたという。チーム状態は決してよくなく、
「選手たちが何をやっていたか、わからなくなっていた」
岩政氏によれば、この当時の鹿島はいろんなものが壊れていたという。鈴木氏が補足する。
「クラブのフロントのこととかね、チーム全体のことも、いろんなことの変革期でもあった」
岩政氏は大きく頷いて、これに同意した。
「この流れだったらこういう選手を入れて、もしくは戻して、鹿島の伝統をまずは継続するところから入っていかないと、鹿島が鹿島じゃなくなる」
危機的状況だったことを明かしたのである。
そんないきさつがあったせいか、岩政氏は2022年にリーグ4位、2023年はリーグ5位という悪くない結果を残したが、契約満了で退任。この時の心境を聞かれた岩政氏は目線を泳がせて苦笑いすると、
「うーん、そうね。あの…えっと、今思うといろんな反省があった。指導者として未熟だった」
鹿島は今年からFC東京やC大阪で指揮を執ったランコ・ポポヴィッチ監督が就任し、第28節終了時点で4位につけている。この結果は岩政氏が鹿島の伝統をチームに取り戻したからなのかもしれない。
(鈴木誠)