一塁ランナー・大谷翔平がスタートを切って、2番ベッツの打球はセンター前へ――。
ドジャース・大谷翔平の「50-50」(本塁打50&盗塁50)を阻む者は、チームメイトかもしれない。
日本時間9月11日のカブス戦で大谷翔平が47個目の盗塁をマークしたが、試合後の米メディアの質問は「一走・大谷と2番打者ベッツがヒットエンドランを決めた5回の攻撃」に集中した。すなわち、大谷がスタートを切ってベッツが打ったらヒットになり、大谷の盗塁は「幻」に…というシーンだ。
「デーブ・ロバーツ監督は、はっきりとは答えてくれませんでした。大谷に対し、ベンチは『走れると思ったらスタートを切れ』と指示を出しているし、ベッツにも基本はノーサインのはずです」(現地記者)
2番を任されているムーキー・ベッツは、2018年のMVPに選ばれたスター選手だ。昨年も3割強の高打率を残しており、フリーに打たせているのはこれまでの実績に配慮してのこと。
こうした状況を整理してみると、ヒットエンドランは結果論であって、大谷とベッツの双方が自由にやったらたまたまそうなった、ということのようだ。
「考えてみたら、大谷とベッツの双方が自由にやって、結果論のヒットエンドランになったのは、これが初めてかもしれません」(前出・現地記者)
温和で明るいベッツの性格からすると、大谷の盗塁を邪魔しようとしてバットを振ったとは考えにくい。だが今後も続くようであれば、盗塁50を阻む可能性も出てくる。
「ドジャースの最終戦は9月30日(日本時間)のロッキーズ戦です。今後はブレーブス、マーリンズ、パドレスとの試合が残されていますが、どのチームも捕手の能力がイマイチなので、50盗塁が達成される可能性は高いでしょうね」(メジャー関係者)
ドジャースのクラブハウスは、久々に報道陣に開放された。試合前の大谷の様子を聞いてみると、パソコンの映像を見ながら、ストップウォッチで対戦投手の投球モーションのスピード、捕手の二塁送球までの時間を計っていたという。アナログな感じがしないではないが、盗塁の準備をしているのだろう。
こうした大谷の熱心さは、ベッツも見ている。2人がベンチのサインでヒットエンドランを決めるシーンもあるのではないか。
(飯山満/スポーツライター)