幹部職員から「パワハラ疑惑」や「おねだり疑惑」を告発され、袋叩きに遭っている兵庫県の斎藤元彦知事。兵庫県議会は百条委員会を開き、真相究明に乗り出しているが、当の斎藤知事に反省の色はまるでなく、己を正当化する主張を繰り返している。
そんな中、2021年の知事選で斎藤氏を推した維新の会(県議会第2会派)は9月9日、斎藤知事の辞職を要求する申し入れ書を、服部洋平副知事に提出。県議会最大会派の自民党をはじめとする4会派も9月10日に、辞職要求に踏み切ると発表している。が、斎藤知事本人はこの期に及んでもなお「辞職拒否」と「知事続投」に固執し続けている。
このような前代未聞の異常事態を受け、県議会自民党と立憲民主党系の第4会派・ひょうご県民連合は、9月19日に開会する9月議会での不信任決議案の提出を検討し始めている。
不信任決議案の可決には出席議員の4分の3以上の賛成が必要となるが、自民と県民連合と維新の3会派だけで可決ラインに達しており、すんなりと可決される見通しだ。
その場合、斎藤知事には2つの選択肢が残されている。第1の道は、不信任決議を受け入れて、自ら辞職するという穏当なもの。第2の道は、知事権限で県議会を解散するという禁断の選択肢だ。
過去の例を見ると、県政の混乱を避けるべく、第1の道を選択するケースが大半だが、あろうことか、斎藤知事はあえて第2の道を選択する可能性が極めて高いというのだ。さる県議会関係者が、呆れ顔でこう指摘している。
「斎藤知事のこれまでの言動から考えると、辞職ではなく解散に打って出るのは明らか。言うなれば、自分を追い詰めた県議会に対する『報復解散』であり、これには最初に辞職要求を突き付けた維新の会へのアテツケという意味もあるようだね。実際、最近の維新の会には往年の勢いはなく、報復解散で県議選が実施されれば、議席を大きく減らす可能性が高い。しかも、兵庫県議選は昨年4月に行われたばかり。斎藤知事が解散に踏み切れば、16億円もの公費が、新たに消費されることになりますね」
もっとも、県議選後の最初の県議会で改めて不信任決議案が提出され、過半数の賛成で可決された場合、斎藤知事は再び県議会を解散することはできない。結局は失職に追い込まれた上で、知事選が行われることになるのだ。
職員を自殺に追いやったモンスター知事は、不毛な抵抗をいつまで続けるつもりなのか。
(石森巌)